“虎の坂本”誠志郎 プロ1号マルチ!盗塁刺した CS1・5差や

[ 2016年8月25日 07:05 ]

<D・神>4回無死、坂本は左越えにプロ初本塁打を放ちナインとハイタッチ

セ・リーグ 阪神5―1DeNA

(8月24日 横浜)
 阪神は24日、3位・DeNAとの直接対決(横浜)に快勝し、1・5差に迫った。立役者はドラフト2位の坂本誠志郎捕手(22)だ。4回のプロ初本塁打を含む2安打。藤浪との初バッテリーでは初回に初の盗塁阻止を決めるなど攻守で3連勝に貢献した。2試合連続12度目の猛打賞を記録した同じ明大出身のドラフト1位・高山に負けない活躍だった。

 横浜の夜空に見事な放物線を描いた。ガッツボーズはない。三塁を回って高代ヘッドコーチとハイタッチを交わし、坂本は笑った。うれしいプロ初本塁打だった。

 「塁に出ることを考えていました。打った瞬間は『あっ!いったかな』とは思ったのですが、確信はなかったです。良い感じで打てたので、入ってほしいと思いました。良い結果が出て良かったです」

 2点優勢の4回先頭。久保康の甘いスライダーを完璧に捉え、左翼席へ運んだ。ベース一周の姿も初々しい。速度を緩めすぎ、ベンチに帰ると満面の笑みの金本監督から『もっと早く帰ってこいよ!』というようなジェスチャーで迎えられた。記念球は外野席のファンから球場係員を通じて手元に戻ってきた。

 捕手に必要な洞察力や観察力はピカイチ。だからこそ、打力向上が最大の課題だった。5月5日に初昇格しながら出場がないまま同18日に降格。悔しさをバネに打撃の意識を根本から変えた。参考にしたのはソフトバンクの松田のような『前で捉える』打法だった。

 「あれぐらい前で捉えられたら。今までは引きつけるという意識を持っていたけど、早く準備をしてボールを長く見るようにした。意識しすぎて低めの変化球に手を出してしまうかな、と思ったけど、逆に見極めもできるようになった。これがもしかしたら自分に合ってるかもしれない」

 阪神で複数の新人が同一シーズンで本塁打を記録したのは01年の赤星、沖原、藤本以来。先制打を含む3安打を放った同期の高山とそろって打点も挙げた。球団新人野手の同日打点は01年10月4日のヤクルト戦(神宮)での赤星と藤本以来。03年のリーグ優勝で主力へ成長した先輩たちと同じように飛躍へ期待が高まる。

 捕手としても初めてバッテリーを組んだ藤浪を7回1失点へ導き、初回には初の盗塁阻止も記録した。最大の長所である守備力をいかんなく発揮。正捕手争いについて問われた金本監督も「全然、面白い(存在)」と認めた。3位・DeNAには1・5差まで接近。逆転CSを狙う猛虎に新たな風を吹かせた (巻木 周平)

 ▼阪神・矢野作戦兼バッテリーコーチ 次のチャンスも広がるね。(盗塁阻止は)相手のペースになるところを止めたのは大きいと思う。ワンバウンドも一球も後ろにそらしてないしね。坂本が(正捕手争いに)加わってきた。

 ◆坂本 誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年(平5)11月10日生まれ、兵庫県出身の22歳。履正社では1年秋から正捕手を務め、2年夏と3年春に甲子園出場。明大では2年春と秋にベストナイン。高校、大学と大学日本代表で主将を経験している。15年ドラフト2位で阪神入り。今季7月19日の巨人戦(甲子園)8番・捕手でデビュー。1メートル76、78キロ。右投げ右打ち。

 ≪4年連続夏の長期ロード勝ち越し王手≫阪神が3連勝で3位のDeNAに1・5ゲーム差まで接近。3位チームと1・5ゲーム差は7月3日以来52日ぶりで、7月23日時点の最大7ゲーム差から26試合かけて5・5ゲームを縮めた。チームは今季夏の長期ロードを1試合残して10勝9敗とし、勝率5割以上が確定。25日DeNAに勝つか引き分けで、4年連続のロード勝ち越しとなる。

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