秀岳館 夏初8強 “鍛治舎ローテ”だ左腕3人継投ズバリ

[ 2016年8月17日 05:30 ]

<いなべ総合学園・秀岳館>7回2死二塁、深瀬を三振に抑え、仲間たちとグラブタッチする秀岳館・川端(右)

第98回全国高校野球選手権10日目・3回戦 秀岳館6―1いなべ総合学園

(8月16日 甲子園)
 3回戦4試合が行われ、秀岳館(熊本)が、いなべ総合学園(三重)に6―1で快勝し夏では初、2季連続の8強入りを決めた。7回途中から登板し2回2/3を無失点に抑えた川端健斗(2年)を中心に左投手3人の継投策が功を奏した。2戦連続の2桁安打と打線も健在で県勢では6年ぶりの準々決勝進出。大会12日(18日)第1試合で常総学院(茨城)との対戦が決まった。また嘉手納(沖縄)は明徳義塾(高知)に5―13で敗れた。

 目の前にきたウイニングボールを落ち着いて一塁に送ると川端は涼しい顔のまま整列に並んだ。

 「準備できてましたし外に投げれば打たれない。行く気満々でした」。

 先発した2回戦・常葉学園菊川(静岡)に続くマウンドは火消し役から始まった。2番手・中井雄亮(3年)からバトンを引き継いだのは2―1での7回1死二塁、1ボールから。鍛治舎巧監督が「ひらめき」で決めた不意の交代にも動じず、連続三振で切り抜けた。

 3―1での8回1死から3連打を浴びて満塁。相手アルプスの観客がタオルを回す盛り上がりで空気が変わり始めたが「秀岳館(一塁側)スタンドを見てた。左腕で良かった」と気にせず、いずれも直球で左飛、三飛で締めた。初戦に続く3人の継投が成功し「うまくいった。投手にはスクランブル登板だ、と言ってるし代える順番は打者との相性で」。指揮官はしてやったりだ。

 無名だった左腕は鍛治舎監督に球筋、縦カーブを見込まれて秀岳館入り。奈良・南都ボーイズの3番手だった川端は木津中2年の春に枚方ボーイズとの練習試合で途中登板。3本塁打を浴び1―14で大敗。へこんでいると監督経由で誘いを受け、即決した。ここまで2戦合計6回2/3を投げて無失点。好左腕となった。

 入学時は色白かつ細身だったため白人男性をイメージした「華奢(きゃしゃ)リン」との愛称で呼ばれていたが今は「川端」としか呼ばれない。体重も10キロ増えて最速も118キロから142キロにアップ。「落ち着きが一番あるしリリーフ向き。いい働きをしている」。“鍛治舎ローテ”に外せない存在となっている。

 初の8強入りを決め、常総学院との対戦が決まった。「出番がくれば淡々と投げます」。秀岳館は“打”だけでなく“投”の厚さも増している。

 ◆川端 健斗(かわばた・けんと)2000年(平12)1月26日、京都府生まれ。木津小3年時に「いずみクラブ」で軟式野球を始め木津中では「南都ボーイズ」で投手一筋。秀岳館では1年秋から背番号13でベンチ入り。春は背番号12で2回戦・南陽工戦では3番手で登板し1回1/3を無失点。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ、カットボール。最速142キロ。1メートル74、67キロ。目標とする投手は松井裕樹(楽天)。

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