【夏の1ページ】東北・渡辺 次のステージも「テークバックゼロ」

[ 2016年8月10日 08:00 ]

<東北・横浜>東北・渡辺の「テークバックゼロ投法」

第98回全国高校野球選手権第3日・1回戦 東北1―7横浜

(8月9日 甲子園)
 左翼席へ吸い込まれる打球をじっと見つめた。「やられた」。東北の左腕・渡辺は0―1の3回2死一、三塁で失投の直球を捉えられ、3ランを被弾。相手は小6時に選出された楽天ジュニアの仲間、公家だった。

 グラブとともに上げた左腕を、ほとんどテークバックをとらずに前へ振る変則投法。元々は大きいテークバックから投げていたが、昨春から制球難に陥り、試行錯誤の末にたどり着いた。次第に「テークバックゼロ投法」と話題を集めた。

 公家とは甲子園で6年ぶりに再会した。「デッドボールぶつけんなよ」。「当てるわ」。開会式で冗談を交わし合った親友との最初の対決は初回2死一、二塁。目が合い、互いに少しだけ口元が緩んだ。チェンジアップで空振り三振。ただ、あとの3打席で一発を含む2安打を浴びた。

 「小学校とはオーラが倍ぐらい違った。最高の舞台で(公家)響と対戦できて感謝してます」

 8回7失点で初戦敗退。進路は未定だが、野球は必ず続けるつもりだ。「このフォームじゃなかったら甲子園に出られなかった。次のステージでもこのフォームで勝負したい」と晴れやかな表情で言った。 (青木 貴紀)

 ◆渡辺 法聖(わたなべ・ほうせい)1998年(平10)6月24日、宮城県生まれの18歳。小3から東長町スワローズで野球を始める。郡山中(軟式)から東北へ。1年夏に初めてベンチ入り。2年秋に再びベンチ入りし、3年春からエース。1メートル79、82キロ。左投げ左打ち。

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2016年8月10日のニュース