【石井一久クロスファイア】「MLBカップ」野球人口拡大に一役

[ 2016年8月10日 12:00 ]

MLB杯開会式の入場行進で選手らをハイタッチで出迎えるクロマティ氏(右)と石井氏(中央)

 今月5日から3日間、宮城県石巻市で「MLB CUP 2016」の全国大会が開催された。僕は元メジャーリーガーのゲストとして、巨人でもプレーしたクロマティさんと一緒に初日の開会式に出席した。この大会はMLBが立ち上げた小学4、5年生を対象にした新設のトーナメント。今年3月に地方大会を行い、勝ち抜いた16チームで初代王者を争った。

 MLBが日本でこのような大会を創設した目的は、野球人口の拡大。これまで小学4、5年生を対象にした全国大会はなかった。いろいろなことに興味を持っているこの年代の子供たちに野球の楽しさを伝えることは大事だ。全国大会があれば、日本一を目指し、モチベーションも上がる。また、「MLB」の冠がつくことで、遠い世界だったMLBを少しでも身近に感じることができれば、それは将来の目標に変わるかもしれない。

 今回、全国大会が行われた石巻市は、MLBジャパンが東日本大震災以降、復興を支援してきた場所でもある。石巻総合運動公園野球場は、震災後は自衛隊の災害救助拠点だったと聞いた。とても野球ができるグラウンド状態ではなかったが、そこにMLBが球場改修費として100万ドル(約1億円)を寄付。人工芝に張り替えられ、MLBのロゴが入ったきれいな球場にリニューアルした。子供たちの目も輝いているように見えた。

 2020年の東京五輪で、野球・ソフトボールが追加競技として採用が決まったが、サッカーと比べると、世界的には競技人口拡大の取り組みに積極的な国と、そうでない国の差が激しい。日本もテレビの地上波のプロ野球中継が少なくなり、子供たちの野球離れもよく言われる。でも、僕は日本の野球は底力はあると思っている。プロ野球、甲子園…と、やっぱり野球に熱くなる。その底力があるうちに、野球界はいろいろやっていかないといけない。MLBカップも継続していけば、その役割を担う。僕も可能な限り、お手伝いしたいと思う。 (スポニチ本紙評論家)

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2016年8月10日のニュース