藤浪 64日ぶり勝った!江夏超え球団高卒新人最速40勝

[ 2016年8月6日 05:30 ]

<ヤ・神>2回2死一、三塁、藤浪(左)は中前適時打を放ち中村コーチとグータッチ

セ・リーグ 阪神8―0ヤクルト

(8月5日 神宮)
 やっと勝った!阪神・藤浪晋太郎投手(22)は5日、ヤクルト戦(神宮)に先発し7回2安打無失点の快投で6月2日楽天戦以来、64日ぶり勝利となる5勝目を挙げた。江夏、井川らを抜いて球団の高卒新人では史上最速となる95試合目で通算40勝にも到達。待望のエースの勝利で敗れた3位・DeNAに3ゲーム差に迫った。

 壁をぶち破った。藤浪は初回、先頭の大引に四球を与え不穏な空気を漂わせたが1死一塁から今浪を空振り三振に斬り一塁走者の二盗も阻止(記録は三振併殺)し無失点。直球は156キロを計測しカットボールも冴え三塁を踏ませない投球でヤクルト打線を黙らせた。

 「変化球を使いながら、うまく投げられた。バックも守ってくれたし。(走者を背負っても)配球を考えて、落ち着いて投げられたと思う」

 2回は2死一、三塁で自ら中前適時打を放って今季初打点。打点を挙げた試合はチーム12戦全勝という“V打”で投球に勢いを付けた。

 64日ぶりの勝利にはほろ苦さも混じった。「いろいろ考えながらやって、それでも勝てなくて苦しい思いをした」と苦悩の日々を思い返した。人知れず“恐怖”におびえていた。得意とする夏を前にしたある日、ポツリと漏らした。

 「あと2試合続けて情けない投球をしたら、2軍に落ちると思います。この時期に状態が上がってきてもらわないと困るんですけどね…。結果が伴ってないんで、すごく不安になりますね」

 1年目から先発ローテーションの一角を担い不振での2軍落ちは経験したことがない。エースへの独り立ちを期した4年目。崖っぷちに立たされていた。

 「危機感はずっと持ってました。監督が試合後、良い投球じゃなくても、あまりバッサリ言われてる印象が無くて、それが逆に怖かった。このまま情けない投球してるうちに、スパッと2軍に落とされると。そういう恐怖感は常に思ってます」

 4月下旬から6試合連続、今回は自己最悪7試合連続未勝利と長いトンネルをくぐった。ただ暗闇の中にいても、ジタバタすることはなかった。

 「不安にはなりますけど、勝ちが付かないからといって、何かがむしゃらというか、思い切っていきすぎるのも違うし、そこは丁寧に丁寧に調整していきました」

 7月27日ヤクルト戦の試合前練習でブルペン投球を終えると、キャッチボールを敢行。「ブルペンの感覚が気持ち悪くて、悪いまま終わりたくなかった」と熱い日差しを受けながら腕を振った。

 「ホッとしたというのが一番。うれしいですけど、より気を引き締めないといけないと。全然見られる成績ではない。何とか取り戻していきたい」。熱き115球は、巻き返しへの号砲だ。 (遠藤 礼)

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