筒香、世界新だ!月間6度目1試合2発 10本差から山田抜いた

[ 2016年7月30日 05:55 ]

<広・D>4回2死一、二塁、筒香がこの日2本目となる31号3ランを放つ

セ・リーグ DeNA19―3広島

(7月29日 マツダ)
 3冠王が見える。DeNA・筒香嘉智外野手(24)が29日の広島戦で30号、31号の2本塁打を放ち最大10本差があったヤクルト・山田哲人内野手(24)を抜いてリーグトップに立った。月間6度の1試合複数本塁打はプロ野球新記録で月間15本塁打は球団新記録。記録ずくめの豪打に導かれたチームは横浜時代の99年以来となる19得点で大勝し勝率を5割に戻した。

 あくまでクール。筒香は言った。「チームが一試合一試合、丁寧に勝っていこうとしている。自分の数字は置いといてという感覚なんです」。球場を後にする最後の最後にも「数字は全くどうでもいい」と口にした。

 だが、その「数字」が凄い。凄すぎる。バットを振れば、記録が付いてくる。この日だけで3つの歴史的レコードを樹立した。左打者のシーズン30号クリアは球団66年ぶり2人目。31号で、プロ野球新の月間マルチ本塁打6度、球団新の月間15本塁打に達した。リーグ本塁打王争いを独走してきたヤクルト・山田を捉え、抜き去った。

 誰にも止められない。1発目、30号は初回1死一、三塁で右中間席へ運ぶ先制3ラン。3点リードの4回2死一、二塁ではフルカウントからの7球目、野村の投じた外角低めへのチェンジアップを粘り腰で押し込んだ。「いろんな球種を投げてくる投手。チェンジアップも頭にあった」。バックスクリーン左に31号3ランが飛び込んだ。

 初回の一撃は、ラミレス監督の助言を生かした。7月絶好調の主砲に、相手投手は警戒してストライクゾーンで勝負をしてこなくなっている。前日の中日戦(ナゴヤドーム)での試合前練習、「必ず一つのストライクは来るんだよ。その一つのストライクに対してしっかり準備をしなさい」と声を掛けられた。野村の初球、139キロ内角直球を本塁打。「初球から本当にいい準備をしてくれた」と指揮官から賛辞を贈られた筒香は「起きたときから準備はしている」と胸を張った。

 打率・333、73打点はリーグ2位で、1位の山田に7厘差、4点差に迫ってきた。つかんだ3冠王への挑戦権。昨季最終戦となった10月3日の巨人戦(横浜)の試合後、打者最高の栄誉といえるそのワードを耳にしている。打率・317、24本塁打、93打点と打撃3部門で自己最高の成績を収めた筒香は、坪井打撃コーチから声を掛けられた。「この成績で満足はしてないよな?俺はおまえのことを3冠王を獲れる選手だと思ってるぞ」。返答は「はい、分かっています」だった。

 迎えた今季。「一喜一憂はしない」と数字に全く関心を示すことはない。主砲としてバットでチームを勝利に導く強い覚悟に、数字が付いてきている。 (中村 文香)

 ▼DeNA・坪井打撃コーチ この数字にも全く驚きはない。チームにとって、必要なところで打ってくれる。常に考えながら取り組んでいる選手。これぐらいの成績ではまだまだだと思っている。

 ≪メジャーでも5度が最多≫筒香(D)が今季8度目のマルチ本塁打で自己最多のゲーム6打点。山田(ヤ)の30号を抜くセ最多の31号となり初のシーズン30本塁打をクリアした。これで7月は15本塁打。月間最多本塁打は13年8月にバレンティン(ヤ)が達成した18本だが、球団では13年4月のブランコの14本を上回る最多記録だ。また、月間6度のマルチ本塁打は76年5月にブリーデン(神)がマークした5度を塗り替えるプロ野球新になった。なお、大リーグの月間最多マルチ本塁打は59年5月のハーモン・キルブリュー(セネターズ)、95年9月のアルバート・ベル(インディアンス)、14年5月のエドウィン・エンカーナシオン(ブルージェイズ)の各5度。

 ≪66年ぶり2人目≫球団でシーズン30本塁打以上は13年ブランコ41本以来延べ29人目。左打者は球団創設年の50年(当時大洋)に藤井勇が34本塁打して以来66年ぶり2人目。

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