【宮崎】日南学園 小兵1メートル61森山が完投 春夏連続切符

[ 2016年7月28日 05:30 ]

<宮崎商・日南学園>甲子園出場を決め歓喜に沸く日南学園ナイン

第98回全国高校野球選手権宮崎大会決勝 日南学園5―1宮崎南

(7月27日 KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の宮崎大会決勝が行われ、日南学園が5―1で宮崎商に快勝し、春夏連続で甲子園切符を手にした。身長1メートル61の小兵左腕、森山弦暉(げんき)投手(3年)が9安打を浴びながらも粘りの投球で完投。主将を兼務するエースが、春の忘れ物を取りに再び甲子園のマウンドに帰ってくる。

 勝利の瞬間、マウンドに駆け寄ってきたナインの歓喜の輪にのみ込まれ、身長1メートル61の“小さな大黒柱”森山の姿は見えなくなった。

 「素直にうれしい。自分は打たれ強い方。粘れるのがいい投手の条件ですから」

 9安打を浴びながらも、3回1死三塁から一ゴロの間に失った1点に抑えた。5回2死三塁、6回2死一、二塁など再三のピンチにも追加点は与えなかった。5回終了時にベンチで「あと3点くらいくれ」と野手におねだり。「ズバズバ言うなぁ」と打撃陣は苦笑いしながらも、6回に3点をプレゼントした。

 今春センバツでは8強入りした明石商(兵庫)に1回戦で2―3でサヨナラ負けしたが、相手エースの吉高壮(3年)と堂々と投げ合いを演じ、全国クラスの実力を証明した。今大会でも2回戦・延岡商戦での完封に始まり、全5試合中4試合に先発し、計31回を投げて28奪三振で失点はわずか3。この安定感の裏には脚力のベースがある。

 スタンド観戦した父・英俊さん(53)は都城工陸上部出身で長距離専門。父は小学6年時に身長1メートル40しかなかった次男を野球ではなく「箱根駅伝に出させたい」と地元の大会に出場させた。森山少年は五十市小2、4年時に「内之浦銀河マラソン」2キロの部で優勝。小5、6年の校内の持久走でも2キロを連覇し、五十市中の1500メートル走は3年間負けなし。ただ「体力に自信はついたけど陸上に面白みを感じなかった」と甲子園に憧れ日南学園の門を叩いた。

 入学時の身長は1メートル58。心配した両親は背が伸びる効果があると聞きつけ、宮崎産のうなぎの骨を粉末にした食品「救骨さん」を食べさせた。さらに宮崎医科大で成長を促すホルモン注射を受けるよう勧めたが、森山は「もういいよ。小さくてもやれるというのを見せる。努力をすれば誰にも負けないから」と小さな大エースになると決意した。

 昨秋に新チームになった際に自ら立候補して、同校初のエース兼主将となった森山は「まずは監督に1勝をプレゼントしたい」と言った。同校OBの金川豪一郎監督は二塁手兼主将として95年、監督として11、14年夏に甲子園出場も初勝利はお預けのまま。今春から1センチだけ身長の伸びた左腕は「甲子園で勝つための今日。本当の勝負に勝てるように準備したい」と意気込んだ。 (井上 満夫)

 ▽日南学園(宮崎)卓球も盛ん。プロ野球広島の中崎らを輩出。

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2016年7月28日のニュース