ヤクルト館山 不屈の1勝 10度目手術からまた復活

[ 2016年7月23日 05:30 ]

<中・ヤ>ヤクルト先発の館山は5回2失点で今季初勝利

セ・リーグ ヤクルト6―3中日

(7月22日 ナゴヤD)
 お立ち台を辞退した表情に笑顔はなかった。ヤクルト・館山が5回2失点の粘りの投球で今季初勝利。だが、満足感はない。

 「四球の出し方が良くなかった。失点の仕方も反省点ばかり。逃げ回ったつもりはないけど、際どい球の出し入れ、勝負勘をうまくならないといけない」と敗戦投手のように猛省した。

 本来の球の精度ではなかったが、抑えるすべは知っている。5回まで5四死球と制球が定まらず、毎回走者を出すピンチの連続。それでも、勝負どころではギアを入れた。1点を奪われてさらに5回2死一、二塁のピンチでは145キロの直球で福田を二ゴロ。6回も首脳陣に続投を志願していた。「リリーフに迷惑を掛けている」と、勝利に貢献したいが故の行動だった。

 自身の能力を最大限に引き出すために迷いはなかった。開幕から2試合連続KOを喫し、4月14日に出場選手登録を抹消。同20日に右肘関節遊離体摘出とクリーニング手術を受けた。通算10度目の手術で、右肘に限っても5度目。ただ、右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を3度受けた右腕は、修羅場をくぐり抜けた場数が違う。妻・陽子さんは「手術したけど今回はメスを入れていないので、表情はすっきりした感じでした。(イースタンで)150キロ出た時も“何年ぶりだろう”ってうれしそうでした」と振り返る。

 館山には強い絆で結ばれた「松坂世代」のライバルたちがいる。14年4月に3度目のトミー・ジョン手術を受け、復活を目指してリハビリに励む日々。代打の切り札で活躍するDeNA・後藤に「同世代の仲間たちがグラウンドで頑張っている姿が自分の励みになっている」とメールを送っていた。その気持ちは今も変わらない。「高校(日大藤沢)の時は松坂大輔、新垣が雲の上の存在だった。今もそうです。彼らの背中を追い掛け続けたから今の自分がある」と感謝を口にする。

 次は29日の巨人戦(東京ドーム)に先発予定。上位浮上へ活躍が不可欠な右腕は「自分が勝つことよりチームが勝つこと。1つ勝って次につなげないといけない」と力強く誓った。 (平尾 類)

 ▼ヤクルト・高津投手コーチ 館山は指に掛かった変化球、フォークはよく落ちていた。心と技術がかみ合えばもっともっと良くなると思う。

 ◆館山の今季のこれまで 2月の春季キャンプでは6年ぶりに第1クールで4日連続キャッチボールを行うなど、順調に調整。本拠地開幕戦の3月29日阪神戦(神宮)に先発した。しかし5回4安打5四球5失点で黒星。2度目の先発となった4月13日巨人戦(同)では5回11安打6失点。20日に群馬県館林市内の病院で右肘関節遊離体摘出とクリーニング手術を受けた。6月7日のイースタン・巨人戦(戸田)で実戦復帰。最速146キロをマークした。7月6日DeNA戦(横浜)で1軍復帰も、2試合登板して勝ち負け付かず。

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