大谷 自己最多11号!珍し興奮決勝弾 シーズン19本ペース

[ 2016年7月21日 05:30 ]

<日・楽>5回2死一、三塁、11号3ランを放った大谷(右)は中田に手荒い祝福を受ける

パ・リーグ 日本ハム9-3楽天

(7月20日 帯広)
 日本ハムの大谷翔平投手(22)が20日の楽天戦に「5番・DH」で出場し、5回に右中間へ決勝3ランを放った。先頭打者弾を放った3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来となる待望の一発は、4年目で自己最多となる11号。帯広では初アーチとなった。打点も自己最多タイの31とした二刀流がチームを3連勝に導き、貯金は今季最多となる20。4・5ゲーム差の首位・ソフトバンクを追走する。

 沈着冷静な男が珍しく興奮していた。一塁ベースを回った大谷は右拳を突き上げた。帯広で初めて描いたアーチは決勝3ラン。それも、自己最多となる11号だった。

 「打った瞬間、(スタンドに)行ってくれって感じでした。1、2打席目に三振していたので、何とかチャンスで打ちたいと思っていた」

 リベンジの内角狙いだった。5回に同点に追い付き、なお2死一、三塁。初対戦の楽天・ブリガムに前2打席はいずれも空振り三振を喫していた。内角をスライダーで攻め込まれたが、その内角のスライダーに狙いを定めた。「(内角は)基本はボール球なので“内甘(内角甘め)”を待っていたくらいの感覚」。初球、外角のカーブを見逃し、2球目に内角高めに来た。144キロの直球だったが、やや真ん中寄り。一振りで仕留めて「体がうまく反応してくれた」と会心の笑みだ。

 進化させた内角打ちでもあった。二刀流3年目の昨季から内角攻めに遭うケースが増え、今季からスイングの軌道を修正した。昨季までは内角球に体を開いて打ったが、今季は開かずにバットを出すことを意識した。体を開く打ち方は鋭い打球を飛ばせる一方で、バットに角度がつくためボールとの接地面が狭くなり、ミート率は下がる。ボールを巻き込み、ファウルにもなりやすい。ボールが向かって来る方向にバットを素直に出すことで、ミートポイントを広く使うことが狙いだ。「前に体重移動しながらも後ろの軸を保つことができる」と城石打撃コーチ。内角球を右中間席まで運んだ一発は最後まで体を開かず、体の軸回転で完璧にボールを捉えた。

 右手中指のまめの影響で球宴では登板を回避したが第2戦で一発を含む3安打で初のMVPを獲得。ヤクルト・山田、DeNA・筒香ら球界を代表するスラッガーが集う夢の祭典でも存在感を見せつけ「自分の打撃は自分のもの。(強打者たちの打撃は)参考にはするけど、それをやるかは別」と言う。その自信が2年目の14年に記録した10本塁打を上回る自己最多の11号。それも85試合目で超えた。シーズンでは19本ペースで今季目標の20本も視界に捉えた。

 「自分も活躍できたし、チームも勝った。もっともっと打てるように頑張りたい」。内角をさばき、帯広の青空に打ち上げた11号は成長の証だった。(柳原 直之)

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2016年7月21日のニュース