阿部、黒田の200勝粉砕弾 偉業待つ満員のマツダ黙らせた

[ 2016年7月14日 05:30 ]

<広・巨>2回無死、右越えにソロを放つ阿部(投手・黒田)

セ・リーグ 巨人6-0広島

(7月13日 マツダ)
 巨人の阿部慎之助捕手(37)が13日、広島戦の2回に黒田博樹投手(41)から先制の右中間5号ソロを放った。同投手から2004年以来12年ぶりとなる一発で口火を切ると、6回にも2点目となる右前適時打。4歳年上で日米通算200勝がかかった右腕の快挙を阻止し、チームは前半戦最終戦を白星で飾った。首位・広島とのゲーム差を10に縮め、18日から始まる後半戦で追い上げる。

 鋭い眼光を飛ばし、オーラを放っていた。試合後、駐車場につながる通路。完全アウェーの空気を支配した阿部は「ホームランを打っても、(球場が)シーンとしてるんだもん」と笑い飛ばし、バスに乗り込んだ。

 2回先頭だった。黒田の日米通算200勝を期待する3万2247人の大観衆が集まったマツダスタジアムを静まりかえらせた。初球。「来たボールに反応できた」と外角のツーシームを強振した。先制の5号ソロ。右中間席最前列に運び、同じ左の強打者だった高橋監督も「雰囲気が阿部のホームランで少し変わった」と肌で感じた。

 一発の次は泥くさくいった。1―0の6回2死三塁。フルカウントから、カットボールを地面に叩きつけた。打球は一塁手の手前でイレギュラーし、一塁線を破る適時打。きれいな当たりではなかっただけに黒田のダメージも大きく「最後に何とかバットに当てることができた。いい当たりじゃなかったけど良かった」と振り返った。今季は初対戦だったが、黒田が日本球界に復帰した昨季は5打数2安打。百戦錬磨の主砲が、7回途中6失点KOに追い込んだ。黒田からは04年4月16日(広島)以来、12年ぶりで4発目だった。当時25歳だった阿部は、29歳だったエースから左越えソロを放ち、連続試合本塁打を6試合に伸ばした。野村克也の持つ捕手記録を塗り替え「最強の捕手」になった。あれから12年。37歳の今季は開幕前から右肩痛に苦しみ、一塁での出場が続く。捕手として守ることはできないが、「経験」を投手に伝える姿があった。

 6回2死一塁。阿部は捕手・小林誠とともに、マウンド上の田口の元に向かった。次打者は2回にこの日初安打を許した新井。20歳左腕に、阿部は「いろいろ球種を使ってみろ」と助言を送った。5球のうちスライダーなど3球種を使い分け、空振り三振に仕留めた。

 ちょうど1週間前の6日阪神戦(東京ドーム)。阿部は決勝打を放ち「広島と(競り合って)ガチンコでいきたい」と誓った。前夜の対戦では今季ワースト13失点の大敗。11ゲーム差に広げられ、この日も負ければ最大11・5ゲーム差を逆転した96年の「メークドラマ」を上回る12ゲーム差に離されるところだったが、主砲が窮地を救った。

 高橋監督は「昨日コテンパンにやられているから1つ返せたのは良かった。しっかり抑えて、きっちり点を取ることができた」と話した。昨季と同じく借金1で前半戦を終え、広島とは10ゲーム差。阿部は「(勝利は)良かった」と短く言った。逆転優勝へ、後半戦での捕手復帰も見据えている。(神田 佑)

 ▽阿部の前回の黒田からの1発 プロ4年目の04年4月16日。広島市民球場で2回1死走者なしから黒田のフォークを、左翼席最前列へ運ぶ一時同点の8号ソロ。これで6試合連続本塁打となり、70年に南海・野村がマークした5試合連続本塁打の捕手記録を34年ぶりに更新した。だが、試合は2―7で敗戦。次戦は不発で巨人・王、阪神・バースに並ぶプロ野球記録の7試合連続本塁打には届かなかった。

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2016年7月14日のニュース