金本監督の執念采配 ゴメに代打・原口「今のゴメスでは当たらん」

[ 2016年7月14日 05:30 ]

<ヤ・神>9回表2死一、二塁、ゴメス(右)に代打・原口を送る金本監督(左)

セ・リーグ 阪神4-2ヤクルト

(7月13日 神宮)
 そのタクトから、勝利への執念がにじみ出た。2―2の同点で迎えた9回。阪神・金本監督が、必勝采配を振るった。

 「あそこは迷ったけどね。一番、悩んだ。『エッ』という人も多いかもしれないけど、人工芝だしゲッツーが怖かった。その方が雰囲気が悪くなる気がしたからね」

 先頭・西岡の右前打で無死一塁。次打者は2安打を放っていた鳥谷だ。指揮官が福留、ゴメス、西岡とともに不動の主力として期待する存在。強攻策という選択肢も、あった。だが1点勝負の最終回。送りバントが最善策だった。背番号1が今季初となる犠打を決め、1死二塁と一打勝ち越しの好機をつくり出した。

 「まあ、あの投手は今の状態のゴメスでは当たらん。原口の方が期待できるかな、と思って勝負に行ったけどね」

 続く江越が凡退、福留が敬遠で2死一、二塁。ここで指揮官は、もう一つの決断を下した。ゴメスに「代打・原口」をコール。チャンスで代打を送られる心境は痛いほど分かる。その上で不調のG砲と原口の勝負強さとをてんびんに掛け、後者を選択した。結果は空振り三振で無得点。とはいえ、その勝負に徹した采配でナインを鼓舞した。

 前半戦の最終戦。試合前練習の開始前には選手全員を集め、自らハッパを掛けた。「後半もう全力で巻き返すぞ、と。こんなに借金が10あるチームじゃない、おかしい、とね」。残り56試合に勢いをつなぐため、負けられない一戦だった。

 前半戦を「借金10ということは正直、考えていなかった。(采配で)苦労したというか悩んだところは正直あった」と振り返った指揮官。その上で、力強く言い切った。「借金10のチームでもしっかり応援してくれるファンがいる。そのファンのためにも頑張りたい。とにかく後半戦、全員で戦っていく」。必ずや、巻き返してみせる。 (惟任 貴信)

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2016年7月14日のニュース