【それぞれの夏】直球切れ味は県屈指…田島エース左腕の夢は続く

[ 2016年7月10日 08:30 ]

7回までポテン安打1本。切れ味鋭い直球を投じ続けた田島・鹿目

第98回全国高校野球選手権福島大会1回戦 田島1―6喜多方

(7月9日 あいづ)
 総面積の95%を森林が占める、南会津町にある田島。マネジャーを含め部員11人のチームの大黒柱が、エース左腕の鹿目(かのめ)竣也(3年)だ。福島県内でもあまり知られた存在ではないが、直球の切れ味は県屈指。この試合の最速は137キロだったが、球の出所の見づらさと、投げっぷりの良さで数字以上の球威を感じさせた。右打者の内角をえぐり続け、7回までに許したのはポテン安打1本だけだった。

 武器の直球は昨秋まで「自信がなかった」と振り返る。冬場は股割りに時間を割いた。元来、足回りの強さは持っている。中学時代は野球と並行してスキーの距離競技にも励み、県の市町村対抗駅伝では毎年のように南会津町代表入りを打診されるほど。股関節の柔軟性が加わったことで投球時の歩幅が広がり、直球に威力と制球力が増した。左膝からつま先にかけて土が付き「スパイクのひもがしょっちゅう切れちゃって」と頭をかく。

 7回に自らホームを踏み先制したが「体重が乗らず手投げになった」と8回に捕まる。安打と四球で満塁とされ、相手の4番に中越え三塁打を許して力尽きた。3年間で夏は1勝も挙げられなかったが「打たれたのはしょうがない。やり切った感じです。守備もノーエラーで頼もしかった」と潔かった。

 進路はこれから考えるそうだが「野球は続けたい。やるなら真剣に」と前を向く。まだまだ伸びしろ十分。会津の山々を越えたところに、鹿目にとってもっと大きな舞台が待っているはずだ。(池田 翔太郎)

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2016年7月10日のニュース