【大阪】PL学園 記録員で“4回目の夏” 病魔に負けず「長い夏に」

[ 2016年7月9日 06:16 ]

梅田翔大主将を従え、プラカードを手に開会式リハーサルで行進するPL学園・土井塁人記録員

第98回全国高校野球選手権・大阪大会

 PL学園に入学して4度目の夏を迎える。京セラドーム大阪であった開会式リハーサル。プラカードを持つ記録員の土井塁人は主将の梅田翔大捕手とともに元気よく行進した。春夏の甲子園大会で計7度の全国優勝を誇る名門も今夏を最後に休部状態に陥る。部員は3年生だけの12人。高野連の規定で土井に公式戦出場資格はないが、11人の仲間とともに戦う。

 「長い夏にしたいです。12人という厳しい状況ですが、野球ができることに感謝したい。昨夏にベンチ入りした経験をみんなに伝えることができたら。落ち着けるよう、声をかけてあげたい」

 不屈の男だ。入学した13年の9月末から発熱が続き、同年10月15日に急性リンパ性白血病と診断された。小学校1年生から続ける素振りが初めて途切れた日だった。入院生活では筋力が落ち、両足はやせ細った。そんな状況でも野球を諦めたことは一度もない。毎日のように病室に来てくれた仲間や先輩を励みにグラウンドに帰ってきた。

 当初は1年ほどの入院が必要とされたが、14年2月末に退院。同年秋は記録員としてベンチ入りし、昨春は公式戦に初出場も果たした。選手として最後の夏だった昨年は背番号17をつけ、3回戦と5回戦で代打出場した。長期入院で1年留年しており、1歳下の梅田らと同じ時間を過ごしてきた。「今の3年生は入学してから同級生のように接してきました。タメ口で話しますよ」と笑った。

 唯一の19歳が精神的支柱だ。梅田は「アドバイスをくれるし、コーチのような存在」と感謝する。昨年度の主将で同い年の謝名堂から激励も受けた。「PLがひと区切りを迎える年。何とか頑張ってくれ」―。現部員で唯一、夏の大阪を知る男がPLの命運を握っている。 (吉仲 博幸)

 ◆土井 塁人(どい・るいと)1997年(平9)5月29日生まれ、福岡県北九州市出身。桃山台小1年から「南千里ジャガーズ」で野球を始める。南千里中では「摂津シニア」に所属し、遊撃手。13年にPL学園入学。14年秋から記録員でベンチ入りし、15年春は背番号19でベンチ入りし、公式戦に初出場。同年夏は背番号17でプレー。1メートル74、65キロ。右投げ左打ち。

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