イチロー 3000安打の凄さとは MLBで29人しか達成していない記録の価値

[ 2016年7月7日 07:51 ]

イチロー(AP)

 一流打者の証は、日本では2000安打、メジャーでは3000安打と言われる。前者は名球会入りの条件であり、後者は米野球殿堂入りの目安だ。ひと昔前までは同等の価値のように捉えられていた。実際、90年代の10年間に同記録に到達した選手を調べると、日本が3人で、メジャーが7人。しかし、2000年代の10年間は、日本が10人で、メジャーが4人。そして10年代になると、この7年間で日本は今年の阪神・福留を加えて既に10人。メジャーは2人だけで、マーリンズのイチローが間もなく3人目になる。

 日本の2000安打到達者が増えてきた理由は、試合数の増加や、トレーニング方法の進化などで選手寿命が長くなったことなどが挙げられる。一方、メジャーは相変わらず1年に1人出るか出ないかの記録。価値は昔も今も変わっていない。その意味では、27歳シーズンからメジャーでプレーしたイチローの凄さがよく分かる。

 では、イチローの次の達成者は誰か。現役でイチローの次に安打数が多いのは、レンジャーズのベルトレで2852本(米国時間5日現在)。19歳でメジャーに初昇格し、37歳の今季も衰え知らずで、来シーズン後半には届くのではないか。その次はイチローと同じ01年に21歳でデビューしたエンゼルスのプホルスで2745本。全盛時からさすがに力は落ちているが、18年シーズンに到達する可能性が高い。

 この2人に続くのは、ヤンキースのベルトランで2537本。今季は復活傾向だが、順調にいってあと3シーズンかかる。39歳の年齢を考えると、かなり厳しい数字だ。その次のロリンズは2455本だが、先月にホワイトソックスから戦力外通告を受けており、さすがに難しい。ロリンズに続くのが、タイガースのカブレラで2425本。長打力と確実性を兼ね備えた強打者で、昨季までのシーズン平均は179本。このペースをキープすれば、19年シーズンに到達することになる。

 となると、10年代の到達者は6人か。メジャーで過去に29人しか足を踏み入れていない3000安打。カウントダウンに入ったイチローの歴史的瞬間は見逃せない。(甘利 陽一)

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2016年7月7日のニュース