大谷プレーボール弾!「1番・投手」の利点生かし栗山監督「すげぇ~」

[ 2016年7月4日 05:30 ]

<ソ・日>初回、1番投手・大谷が初球を捉え、先頭打者本塁打を放つ

パ・リーグ 日本ハム2―0ソフトバンク

(7月3日 ヤフオクD)
 漫画ではない。究極の二刀流でプレーボール弾だ。日本ハム・大谷翔平投手(21)が3日のソフトバンク戦に「1番・投手」で出場。初回表に初球を叩き、右中間へ先制の10号ソロを放った。投手の先頭打者本塁打は史上初で「2桁勝利&2桁本塁打」した14年以来の2桁本塁打を記録。投げても8回無失点で7連勝となる8勝目を挙げた。チームを07年以来9年ぶりの10連勝に導き、2位浮上に貢献。同一カード3連戦3連勝した首位ソフトバンクとのゲーム差を6・5に縮めた。

 プレーボールから5秒後。初球だった。大谷の放った打球は大きな放物線を描き、右中間席に吸い込まれた。敵地ヤフオクドームにどよめきが起きる。試合前に「1番・大谷」がアナウンスされた時よりも大きかった。

 「打席に入る前は四球でもいいと思ったが、初球から打てた。直球を思い切って打とうとしたら変化球が抜けてきた。(マウンドの)立ち上がりで疲れないようにゆっくりとベースを回った」

 初回表。中田のスライダーだった。直球を狙っていたが、スライダーが甘く入ると、体が反応した。2年ぶりの2桁となる10号ソロは投手として史上初の先頭打者弾。「(花巻東時代は)3、4番しか打ったことがない。先頭アーチは(人生で)初めてだと思う」。新人だった13年5月6日西武戦(西武ドーム)以来3年ぶりの1番だが、その時は右翼での出場。リアル二刀流の「1番・投手」で歴史を刻んだ。

 「凄くびっくりしたが、やりにくくはなかった」。71年のヤクルト・外山義明以来の「1番・投手」。栗山監督は「いい打者に打順がたくさん回る」と説明し、漫画のような起用法を「(ファンは)プロ野球のロマンを感じてくれた」と続けた。大谷には前日の練習中に伝え、「静寂というか、全部のみ込んで、“やってやる”といった感じだった」と振り返る。

 「1番・投手」の利点もある。初回はこれまでの3番なら攻守交代が重なったり、5番なら走者が出ると打席の準備をしなければならない。1番なら必ず最初に打席に立てる。結果は先制ソロ。準備万端でマウンドに上がることになり、栗山監督は「自分で打って(投手の)調整の準備に時間を取れた」と話し、大谷も「結果的には一番いい形だった」と言った。

 昨年の悔しさも晴らした。5月22日のソフトバンク戦(札幌ドーム)。3点リードの7回2死から5点を奪われ、KOされた。試合後、大谷は栗山監督に「悔しくて眠れません」とメールを送った。「もし、よろしかったら明日、私を使っていただけるとうれしく思います」とも記した。登板翌日。休養に充てる約束なのに、大谷が打撃練習を行っていたことに指揮官は気づいた。それでも打者で起用しなかった。「俺の方から頼んで出てくれという時が来る」。あれから1年がたち、究極の二刀流で王者ソフトバンクを叩きのめした。

 投げても8回無失点で7連勝し、チームを10連勝に導いた。栗山監督は言う。「感動した。すげえ~と思った」。5日は22歳の誕生日。大谷は21歳最後の二刀流で野球ファンに大きな夢を与えた。 (横市 勇)

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