誠也16戦全勝弾 14年プロ1号から“神ってる”3年越し不敗

[ 2016年7月2日 05:55 ]

<D・広>5回、右中間スタンドに11号ソロを放つ鈴木

セ・リーグ 広島6―2DeNA

(7月1日 横浜)
 不敗神話弾!リーグ首位の広島は1日、DeNAを6―2で下した。3―0の5回に松山竜平外野手(30)、鈴木誠也外野手(21)が2者連続アーチ。鈴木が本塁打を打った試合は今季10戦全勝で、プロ入りから数えると16戦全勝。前日30日にチームの連勝は11で止まったが、チームの勢いは変わらない。2位の巨人には今季最大となる9・5ゲーム差をつけ、2日にも前半戦の首位ターンが確定する。

 「神ってる」男にはやはり神話が似合う。前夜に連勝が11でストップしたが、勢いは敵地でも続いていた。夏到来の7月最初の試合。快勝の立役者は鈴木だ。6月17~19日のオリックス3連戦(マツダ)での3試合連続決勝弾以来の一撃が飛び出したのは5回。松山の6号ソロで4―0とした直後だった。

 「その前の打席で腰が引けた感覚があって…。外が遠く見えていたので、死球でもいいと思って踏み込んでいった。右中間?まぐれです」。2ボールから井納が投じた140キロの外角直球を鋭く振り抜く。打球は逆方向の右中間へ。球場の左半分を真っ赤に染めた赤ヘル党からは大歓声が巻き起こった。2者連発のダメ押し11号ソロは、3回の第2打席の凡打が伏線となっていた。

 「初球からガッついてしまって…」。2死一、三塁の好機。初球の外角スライダーを叩いたゴロは三塁正面に転がった。しかし、鈴木には月が替わってもツキがある。エリアンの一塁悪送球を誘い、一塁走者まで生還して幸運な2点先取。それでも、腰を引いた打撃には納得がいかない。だからこそ、勇気とともに踏み込んで放った快弾だった。

 サヨナラ、逆転サヨナラ、勝ち越しと、ファンの脳裏にも鮮烈に刻み込まれた3連続決勝弾。一躍全国区に名乗りを上げたことで取材が殺到し、「苦しいです」と漏らしたこともあった。もともと目立つことを好まない。「やったといっても、たかだか1カ月ですよ。騒がれるのはちょっと…」。21歳の若さながら決して浮かれず、自分の足元を冷静に見続ける。誠也の誇るべき長所。そんな実直な性格が、さらなる飛躍を予感させる。

 これで、背番号51がアーチを架ければ今季チームは負けなし10連勝。3年越しで16戦全勝と不敗神話を誇る。入団2年目、14年9月25日ヤクルト戦(神宮)で放ったプロ1号は先頭打者弾だった。プロ初アーチが先頭打者本塁打だったのはセ・リーグ初の快挙。その当時から鈴木は、何かを持っている選手だった。

 「点差が開いた場面でしか打っていない。僕が打ったから勝っているわけではないです」。どこまでも謙虚な若きスラッガー。それでも、その不敗神話で2位・巨人とのゲーム差は今季最大の9・5に開いた。2日の結果次第では、20年ぶりとなる球宴前の首位ターンも決まる。流行語にもなりそうな「神ってる」男。その存在が、チームの勢いを加速させる。(江尾 卓也)

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