久保康6・30また完封 虎党も脱帽「阪神に戻ってくれ~」

[ 2016年7月1日 05:30 ]

<神・D>3安打完封勝利を挙げ、スタンドのファンの声援に帽子を振って応える久保康

セ・リーグ DeNA3-0阪神

(6月30日 甲子園)
 ちょうど1年前に――。DeNA・久保康友投手(35)が30日の阪神戦(甲子園)で昨年6月30日の中日戦(沖縄セルラー)以来、自身8度目となる完封勝利を飾った。前日の雨天中止によるスライド登板ながら、109球で3安打無四球に抑えて二塁すら踏ませなかった。古巣の阪神相手では初のシャットアウトとなった。

 笑顔は一切ない。ナインとハイタッチを交わし、やっと頬を緩めた。快投を終えた久保康は、もう「次」を考えていた。

 取材対応でも、まるで敗戦投手のように笑顔はない。「5回まで完全投球だったが意識はしたか?」というフリに「完全?何がですか?え?完全試合?5回で完全試合を意識する投手はいないでしょう」とバッサリ。「試合が終わった瞬間に僕の中では次への準備が始まる。フルカウントも多かったのが反省点です」とクールに振り返った。

 2回に自ら適時打を放ち、3回まで29球で9人を片付けた。相手の「早打ち」を察知したベテランは捕手の戸柱に「かわすところはかわし、行くところは行こう」と指令。緩急自在のスライダーとフォークで打ち気をそらし、要所では最速146キロの直球で大胆に攻めた。6回先頭の北條に初安打(遊撃内野安打)を許したが、何事もなかったように後続を斬った。

 阪神からFA移籍3年目。現在の本拠地の横浜スタジアムは両翼も左中間、右中間も狭く本塁打が出やすい球場で「自然に(低めの意識を)覚えたし、それが今日ははまった」と言う。広い甲子園でも低めを意識し、奪った27アウト中、内野ゴロは12で、低めを打たせた平凡な飛球は7。ラミレス監督も「素晴らしい。それ以外の言葉が見つからない」と最敬礼だ。

 ちょうど1年ぶりの完封劇。09年から13年まで所属した古巣相手には初の完封勝利だ。28日の甲子園での練習後には、阪神時代に不振などで2軍調整を行った際に会話する機会もあった原口について「当時は背番号が3桁(育成選手)だった。でもパンチ力があっていい選手だと思っていました」と成長を喜んでいたが、試合となれば話は別。2三振を奪うなど3度の対戦で完璧に抑えた。

 三塁ベンチ前でのヒーローインタビュー。阪神ファンの男性が内野フェンス越しに「また阪神に戻ってくれ~!」と叫んだ。試合時間は2時間21分。虎党も脱帽だった。(山田 忠範)

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2016年7月1日のニュース