【野村謙二郎の視点】試合をコントロールした広島 相手を惑わせる打線の強さ

[ 2016年6月29日 11:15 ]

<広・ヤ>4回無死一、三塁、新井が左前に決勝打を放つ

セ・リーグ 広島3―2ヤクルト

(6月28日 三次)
 広島の4回の4連打は打者の対応力の高さが出た。ヤクルト先発の山中に対して、1巡目は直球にタイミングが合っておらず、緩急に手を焼いたが、2巡目に変わった。下手投げ投手に対する攻略の鉄則である、中堅から逆方向を各打者が意識し、球を長く見る形を取った上で、ボールを叩いた。

 無死一、三塁から新井が左前へ決勝打を放ったが、カウント2―2からランエンドヒットを仕掛けていた。緒方監督は常にストップウオッチを手に持つ。意図ある足技も得点に絡んでいる。

 優勝するチームは相手に考えさせる野球ができるものだ。山中の出来は悪くなかったと思うが、4回で早々と代えたのも、ヤクルトベンチが「タイミングが合ってきた」と感じたからだとみる。走れる選手も多いし、「何をやってくるか分からない」と相手に思わせられれば、試合をコントロールできる。

 私が主将を務めた94年以来の10連勝と聞いたが、当時よりも投手陣はいいし、チーム力は上。連勝はいつか止まる。あとは単純なミスから崩れないことだ。ベンチの作戦と遂行する選手の反応、相手投手への対応力を見ても、自滅さえしなければ大崩れはない。
(スポニチ本紙評論家)

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2016年6月29日のニュース