広島 新井さんで22年ぶり10連勝 セ界独走じゃ!2位巨人と9差

[ 2016年6月29日 05:30 ]

<広・ヤ>4回無死一、三塁、新井が左前に決勝打を放つ

セ・リーグ 広島3―2ヤクルト

(6月28日 三次)
 22年ぶりの快進撃だ。広島は28日、ヤクルトに3―2で競り勝ち、1994年以来となる10連勝を収めた。1―1で迎えた4回に4連打で2点を勝ち越し。6番の新井貴浩内野手(39)が左前に決勝打を放った。得点圏打率・368でリーグ2位の勝負強いベテランがセ最強打線を引っ張り、2位・巨人に9ゲーム差をつける独走。91年以来25年ぶりのリーグ優勝に向け、日本一に輝いた84年の12連勝の球団記録も視界に捉えた。

 両リーグ最多の349得点。強力打線の本領が発揮されたのは、1―1で迎えた4回だった。先頭のルナが左前打で出塁し、鈴木も同じく左前打で続く。無死一、三塁で打席に向かったのは新井だった。

 「チャンスをつくってくれたので、何とか(走者を)還そうと思っていた。追い込まれていたのでコンパクトに」

 2ボール2ストライクから下手投げの山中が投じた内角高めの直球を左前に打ち返した。これが決勝打となった。松山も右前適時打で続き、2点を勝ち越した。怒濤(どとう)の4連打。年1回の広島県三次市での開催で地元のファンを沸かせ、逆転勝ちで94年以来、22年ぶりの10連勝だ。

 2歳年上の黒田からも親しみを込めて「新井さん」と呼ばれる39歳は今年4月に通算2000安打を達成した。得点圏打率・368は中日・平田に次ぐリーグ2位で、同5位の49打点。10連勝中の決勝打は、実に3度目と勝負強さが際立っている。新井が阪神に在籍した13、14年にチームメートだった1学年下の福留(阪神)も脱帽する。

 「常にひたむきに手を抜くことなく練習している。それがうまくいくかいかないかというのは別にして、年長の選手で手を抜こうと思えば抜けるのに抜かない」。努力する才能。25日に日米通算2000安打を達成したばかりの福留も同じだから新井の凄さが分かる。

 ベテランは自身の打撃成績よりもチームの勝敗を重視する。10連勝について「凄くうれしい」と喜んだが「ただまた明日の1勝に向けて準備していく」とすぐに気持ちを切り替えた。この日は一塁守備でも魅せた。8回2死から大引の一、二塁間を抜けそうな打球に飛びつき、アウトにした。ひたむきな守備でも大型連勝に貢献している。

 10連勝のうち2点差以内は8度を数え、サヨナラ勝ちは4度。この日のような逆転勝ちも6度目で、緒方監督は「接戦を勝ち切れているのが凄く大きい」と手応えを口にした。底力を示す勝利の積み重ねにも、就任2年目の指揮官は「全然(気にしていない)。我々の野球をやるだけ」と91年以来25年ぶりのリーグ優勝へ向け、浮かれる様子はない。球団最長の84年の12連勝も近づいてきた。29日の先発は日米通算200勝まであと2に迫る黒田。大黒柱の熱投で連勝を伸ばす。 (柳澤 元紀)

 ▽94年の広島 前年の最下位を受けて山本浩二監督が辞任し、三村敏之監督が就任。前半戦は最下位と低迷したものの後半戦に入って巻き返し、8月21日巨人戦から9月2日ヤクルト戦までの10連勝で借金4から貯金6に。最終的には3位となったが、一時は首位の巨人に1・5ゲーム差の2位と迫った。打線は野村、前田、江藤ら伸び盛りの若手が中心で、リーグトップのチーム打率・276を誇った。

 ≪6月中に10ゲーム差つければV率100%≫広島が14日西武戦から10連勝。広島の最多連勝は84年の12で、2桁連勝は94年以来22年ぶり5度目となった。広島の連勝中にセの2位チーム(DeNA、巨人、中日)は9連敗を喫し、2位とのゲーム差は今季最大の9・0に。6月までに2位に10ゲーム差をつければ、セでは59年巨人、94年巨人、03年阪神に次ぎ延べ4チーム目。過去の3チームは全てリーグ優勝しており、広島もさらに差を広げるか。

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