復活への道歩む巨人・杉内 まずはブルペンでの100球目標

[ 2016年6月28日 08:30 ]

復活を目指し汗を流す巨人・杉内

 再起を期す男がいる。開幕から3カ月が過ぎた6月27日、ジャイアンツ球場の屋外ブルペン。変化球を交えての41球は、かなり力強く見えた。

 術後4度目のブルペンだった。その投球練習に、入団1年目の若手投手数人が集まり、熱いまなざしを向けた。練習後、球場からクラブハウスに歩きながら話を聞いた。35歳の年齢よりもはるかに若く感じる顔つきの左腕は「41球思い切り投げたから、キツイね。スライダーは良かったけど、直球はまだね」と、優しい口調で振り返った。若手が勉強のため見学していたことを聞くと「(若手の)参考にならないよ…」と笑った。

 昨年10月に右股関節の形成手術を受けた。それまでの10年間は、右足を踏み込んだ時の痛みと闘ってきた。18勝を挙げて沢村賞を受賞したのが、ソフトバンクに在籍していた05年。違和感を感じ始めたのは翌06年からで、年々痛みが増したという。6勝に終わった昨季は「痛くて試合前のキャッチボールすらしなかった」と振り返る。オフには、プロ野球史上最大の減額となる年俸4億5000万円減で契約を更改。今季は年俸5000万円からの再スタートを切った。

 捕手が立った状態で、初めて投球練習を再開したのが6月12日。25球を投げ、本来の投球フォームを再現した。見守った木村2軍投手コーチは解説する。「バランスが素晴らしい。最終的に(踏み込んだ右足で)ギュッと急ブレーキをかける。急ブレーキをかけるから、後ろに体重を残して体をひねることができる」と絶賛。「あいつはやっぱり凄かった。良いものを見せてもらいました」と付け加えた。同コーチはスマートフォンで左腕の動画を撮影し、若手に見せて参考にさせている。

 1月に鹿児島で行った自主トレでは「僕はあと8勝で150勝。後半戦で投げることを目指す」と宣言した。言葉通り、着々と復活への道を歩んでいる。巨人・杉内俊哉。まずはブルペンでの100球を目標にしている。(記者コラム・神田 佑)

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2016年6月28日のニュース