【熊本】阿蘇中央 逆境から進撃再び 地震や記録的大雨にも負けない

[ 2016年6月24日 05:30 ]

笑顔の阿蘇中央野球部ナイン

 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の青森大会、秋田大会、宮城大会、山形大会、茨城大会、山梨大会、佐賀大会、熊本大会の組み合わせが23日、決まった。熊本大会は4月の熊本地震の爪痕を県内各地に残す中、7月10日に開幕。阿蘇市唯一の高校、阿蘇中央は生徒会長でもある倉岡真聖(まさきよ)主将(3年)を中心に、豪雨災害に負けず16強入りした12年を超える進撃を目指す。

 倒壊した観光名所・阿蘇神社の姿が、地震の脅威を物語る。阿蘇市から熊本市に行く大動脈の国道57号は土砂災害で寸断され、JR豊肥線も運行再開の見通しが立たない。梅雨に入り、記録的な大雨にも見舞われている。苦境の中、市内唯一の高校・阿蘇中央は白球を追う舞台に立つ。

 抽選で決まった1回戦は7月14日、相手は苓明・苓洋・天草拓心。客席に亀裂が入るなど地震被害を受けながら開催にこぎ着けたメイン会場、藤崎台が舞台だ。主将で背番号1の1番打者・倉岡は「阿蘇に元気を与える、がテーマ。諦めず全員がユニホームを汚す全力プレーで、初の8強を」と意気込んだ。

 4月16日深夜。震度6弱の本震で、寝ていた倉岡に洋服だんすが倒れてきた。「どうやって出てきたか分からん」。バットとグラブだけを持って避難所の小学校に走った。学校は休校となり、約2週間、避難所で生活。幸い野球部員は全員が無事で、5月11日に部活動を再開した。「ボランティアしようや」と話し合い、がれきの撤去や田畑の整備を手伝った。

 「凄い先輩方を見てましたから。何かをしたかった」。12年7月12日、死者、行方不明者22人(阿蘇市)が出た九州北部豪雨でグラウンドと部室が冠水。部員は泥かきと近所の手助けに奔走し、練習なしで試合に臨みながら過去最高の16強入りした。倉岡は当時中学2年生。地元の熱気は忘れない。

 後藤至成(しせい)監督は「今の子たちも、こういう時こそ自分たちもという気持ちを強く持っていると思う」と言った。快進撃、再びだ。

 ▼リオ五輪女子柔道代表・梅木真美(阿蘇中央1期生で12年度卒。現環太平洋大4年)私も五輪に向け、頂上へかけ上る思いで日々稽古しています。県民の皆さんへ、少しでも励みを届けられるよう必ずメダルを持って帰ります。共に頑張りましょう。

 ▽阿蘇中央 09年10月に阿蘇と阿蘇清峰が再編・統合されて10年4月開校。阿蘇市では唯一の高校。学科は阿蘇校舎にある普通科、総合ビジネス科と清峰校舎にある農業食品科、グリーン環境科、社会福祉科。校訓は「岳(やま)を仰ぎ、大志を抱き、未来を拓(ひら)かん」。中島一成校長。

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