楽天オコエ 雄叫び特大弾!憧れラミレス氏効果だ125メートル

[ 2016年6月19日 05:30 ]

<D・楽>3回無死、プロ初本塁打となる左越えソロを放つ楽天・オコエ

交流戦 楽天6―3DeNA

(6月18日 横浜)
 ついに出た~!楽天のドラフト1位ルーキー、オコエ瑠偉外野手(18)が18日、DeNA戦でプロ初本塁打を放った。出場28試合、72打席目での待望の一発は、1点リードの3回先頭で左中間席の中段に豪快に放り込んだ。パ・リーグの高卒新人では初の交流戦アーチとなった。6試合連続で1番に座り、チームの2連勝に貢献。走塁と守備は入団当初から評価が高かったオコエだが、打撃面でも驚異のスピードで成長を遂げている。

 初夏の青空に白球が溶けた。オコエは打球方向を見ながら、ゆっくり走りだした。右手でバットを投げ、雄叫びを上げる。その姿は高卒1年目の18歳とは思えない。威風堂々。軽快な足取りでダイヤモンドを一周した。

 「打った瞬間、入ると確信しました。2軍でも打席に立っていたし練習も結構したので、ここまで長かったと思う」

 ファンの度肝を抜いた。3回だ。相手はドラフト1位左腕の今永。初球から直球を狙った。138キロの内寄り高め直球。軸の右足に体重を残し、強烈な回転運動でバットを振った。プロ1号は失速することなく左中間席中段へ。推定飛距離125メートルの一発を見舞った。

 高卒新人野手で球団史上初の開幕1軍も、初安打を記録できず4月中旬に2軍落ち。心労で入団時に90キロだった体重は80キロ台に落ちた。将来を見据える首脳陣から厳命されたのは「体重90キロの維持」。練習で疲れ切っていても仙台市内の寮で夕食を詰め込み、苦手なプロテインやサプリメントも摂取した。5月下旬に1軍再昇格。フリー打撃で空振りやファウルを連発した2月のキャンプ時にチーム平均以下の120キロ台だったスイングスピードは157キロまでアップし体重92キロで筋肉量も増えていた。肉体的な急成長。プロ初本塁打は時間の問題だった。

 課題を見つけ、すぐに消化する。今回の交流戦から中堅に定着して安打も重ねているが前カードの巨人3連戦(東京ドーム)は12打数1安打。内角打ちの助言をもらうなど尊敬する坂本が所属する巨人を相手に「打ちたい」という気持ちが強く、上半身が投手方向に突っ込んでいた。映像を見返して気付いた18歳は前日から軸足に体重を残すことを強く意識して練習。ボールとの距離が取れたことで「差し込まれた右方向へのファウルもなくなった」と言う。前日の三塁打を含む2安打、この日の本塁打も左方向への強い打球だった。

 試合後、DeNAファンから届けられた記念球は「どでかい段ボールに入れて実家に送ります」とプロ初安打の際と同様のコメントで笑わせた。試合前に「オコエはヤクルトの山田のようになってほしい」と話していた梨田監督は「チームに勢いがついた」と褒めた。

 将来的なメジャー挑戦を夢見るオコエの憧れは、レッドソックスなどで活躍したメジャー通算555本塁打のマニー・ラミレス氏。3日前、都内で同氏のトレードマークだったスカルキャップを購入した。まさに絵になる男。スター性は練習で身につくものではない。 (山田 忠範)

 ≪高卒新人楽天初だ交流戦パ初だ≫オコエ(楽)がプロ初本塁打。高卒新人の本塁打は昨年の岡本(巨)以来だが楽天ではオコエが初となった。また、交流戦の高卒新人アーチは12年の高橋周(中)以来で、パの打者では初めてだ。この日の一発は同じ新人の今永(D)から。高卒ルーキーが新人投手から奪本塁打は、93年松井(巨)が10月21日の中日戦で佐藤から11号を打って以来23年ぶりになる。なお、オコエは72打席目での一発。ドラフト制以降に本塁打を記録した高卒新人32人の中では13年大谷(日)の92打席目に次ぐ難産の1号になった。

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