村田 交流戦史上最多5本目サヨナラ打「心の準備はしていた」

[ 2016年6月16日 05:30 ]

<巨・楽>9回2死一、二塁、サヨナラ打を放ち、ナインの祝福を受ける村田(上)

交流戦 巨人3―2楽天

(6月15日 東京D)
 一塁ベースを踏み、本塁を見つめた。二塁走者の代走・鈴木がサヨナラのホームイン。巨人・村田は右手を高く突き上げると、歓喜の輪の中でもみくちゃにされた。

 「選手みんな優勝するつもりでやっている。この勝ちがきっかけでチームが良くなればいい」

 2―2の9回だ。直前に5番・阿部が敬遠気味に歩かされ、2死一、二塁。心は落ち着いていた。3ボール1ストライクからの5球目。スライダーを左前に運んだ。お立ち台で「阿部さんが歩かされるのはいつも通りなので、心の準備はしていました」と笑いを誘った。2年ぶりのサヨナラ打で、チームは今季2度目のサヨナラ勝ち。連敗を5で止め、3位に浮上した。

 9回無死一塁。高橋監督は「一番打っている打者だけど、なんとかワンチャンスで」と打率リーグトップの坂本に今季初めて犠打のサインを出した。試合前のミーティング。主将の坂本は「みんな試合に入っていけていない。気持ちをもっと入れていこう」と声を張り上げた。監督の勝ちにこだわったタクトと、主将が決めた犠打で広がった好機。男・村田が燃えないわけがなかった。

 35歳の言葉が重かった。「もう辞めるからさ」。春季キャンプから帰京する那覇空港の搭乗口で、冗談交じりに言った。昨季は打率・236、39打点、本塁打は自身最低の12本。「もう辞める」は「もう長くない」の意味だが、本心は違う。生き残りを懸け、モデルチェンジを図った。

 レギュラー争いをしていた横浜時代に原点回帰。「引っ張ってでかいのを打つだけが野球じゃない」と本塁打王2度の男が「打率3割」に目標を置いた。若手の頃の日課だった試合後のミラールームでの素振りを再開。コンパクトなスイングを心がけ劇打につなげた。

 打率は・303だが、13打点は規定打席到達者ではリーグワースト2位。「なかなか得点圏で打てていなかったので、本当に打てて良かった」。通算1000打点にあと3。6番でポイントゲッターの役割を担う村田の打点は、チームの勝利に直結する。 (神田 佑)

 ▼巨人・坂本(9回無死一塁で投前に今季初の犠打)サイン通りランナーを送れてよかった。あれが勝ちにつながってよかったと思います。

 ≪10本目≫村田(巨)が9回サヨナラ安打。自身サヨナラ安打は14年4月29日ヤクルト戦で記録して以来通算10本目。現役では阿部(巨)12本、松井稼(楽)、井口(ロ)各11本に次ぐ本数になる。また、交流戦のサヨナラ安打は12年6月9日西武戦以来4年ぶり5本目。4本で並んでいたマートン(神)を抜き単独最多になった。安打を放った青山(楽)とは横浜時代の06年に初対戦してからこれまで8打席無安打。9打席目の初安打が高価な一打となった。

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