ソフト追撃へ「切り札」大谷、DeNA3連戦で代打案浮上

[ 2016年6月14日 05:30 ]

メンドーサ(中央)と話し込む大谷(右)

 これ以上ない「切り札」だ。日本ハムの大谷翔平投手(21)が、14日からのDeNA3連戦(ハードオフ新潟、横浜)で代打待機する可能性が浮上した。DH制ではないDeNA主催試合で、当初は完全休養に充てる方針だったが、首位・ソフトバンクとの差が今季最大の11ゲーム差に拡大しプランを変更。二刀流のバットに、大逆転Vを狙うチームの命運が託される。

 熱気が立ち込めた。まだ肌寒い札幌を後にし、大谷が新潟に初めて降り立った。この3連戦で代打待機する可能性が浮上。「そこは分からない。僕は(起用法を)聞いていないので」と言葉を濁したが、プロ野球記録の163キロ連発から一夜明け、気持ちは「打者」に切り替わっていた。

 週初めの3連戦にDHを務め、日曜日に投打二刀流で出場するのがこのところの流れ。ただ、この週初めはDeNA主催カードでDHが使えず、栗山監督は交流戦開幕前に「代打で使うなら休ませる方がいいとか、いろいろ考えている」と語っていた。2週間がたち、この日は「(14日の)試合前の状況を見て考える。とにかく考える」と打者起用を否定しなかった。昨季、今季と外野守備には就いておらず、守備を伴う出場については「それは絶対ない」。出番は代打の1打席だ。

 大谷が打者出場する場合、他のスタメン野手と同じメニューが組まれ、試合中もベンチ裏で入念に準備する。代打では、試合展開によって出番は不確実。それなら蓄積疲労を取り除くことを優先して休養させよう――というのが当初の考えだったが、状況が変わった。

 交流戦前は首位・ソフトバンクとのゲーム差は7・5だったが、現在は今季最大の11まで拡大。これ以上離されるわけにはいかない。今季は5試合連続本塁打をマークするなど「打者・大谷」は好調。打者出場ならスタメンに座り続け、一度も代打出場はないが、昨季の後半戦は全て代打出場で23打数7安打(打率・304)、2本塁打、7打点と結果を残した。

 プロ野球過去最大の逆転優勝は63年西鉄の14・5ゲーム差。日本ハムは07年の8ゲーム差が過去最大で、そのラインをすでに越えている。休まずチームに貢献し続ける大谷。ソフトバンクの独走を止めるとしたら、この男しかいない。(柳原 直之)

 ☆骨折代打弾 右頬骨(きょうこつ)骨折を押して出場した13年7月14日のロッテ戦(札幌ドーム)の7回1死二塁、プロ2号となる中越え2ラン。高卒新人の代打本塁打は日本ハムでは前身球団も含め大谷が初。

 ☆初敬遠 15年7月28日のオリックス戦(ほっと神戸)の6回2死二塁で登場し、公式記録上で初の敬遠の四球。だが代走を告げられた岡がいち早く一塁へ走ったため、大谷は打席からそのままベンチへ。大谷は審判団に促されて一塁へ向かいベースを踏んだ。

 ☆初サヨナラ打 15年8月8日の楽天戦(札幌ドーム)、3―3の延長10回無死満塁で登場し、右翼線に3年目で初のサヨナラ打。4時間15分の熱戦に決着をつけた。栗山監督は「無死満塁の時のみ翔平でいくと決めていた」と明かした。

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2016年6月14日のニュース