大谷、3年ぶり死球 背中に受ける技あり「手首に当たる方が危ない」

[ 2016年6月9日 05:34 ]

<日・広>初回2死、3年ぶりの死球を受ける大谷

交流戦 日本ハム4―2広島

(6月8日 札幌D)
 死球も強打者の証!日本ハムの大谷翔平投手(21)は8日の広島戦に「3番・DH」で先発出場。初回の第1打席にクリス・ジョンソン投手(31)から背中に自身3年ぶり、通算2個目の死球を受けた。今カードは執ような内角攻めを受けながらも、7回の第4打席に右中間二塁打で、自己最長の連続試合安打を17に更新。今後も相手投手のマークは厳しくなることが予想されるが、それを克服することで「打者・大谷」はさらに進化する。

 くるっと体をひねり、大谷は背中で速球を受けた。初回2死、2ボールからの3球目。ジョンソンが投じた148キロが直撃した。すぐさまトレーナーがベンチを飛び出したが、平然と一塁へ。プロ1年目の13年7月9日の楽天戦(東京ドーム)で田中(現ヤンキース)に受けて以来、3年ぶり2度目の死球だった。

 「(当たったのは)広背筋ですね。全然、大丈夫です」。7日の広島戦(旭川)に続き、執ように内角を攻められた。2打席目は四球を選んだが、4回1死満塁の好機では1ストライクから懐をえぐるシュートをファウル。続く内角へのスライダーを見逃し、3球三振に仕留められた。

 2日連続で3打席目まで無安打。それでも、ここで終わらないのが今の大谷だ。1点リードの7回無死、この回から登板した今村の初球146キロ直球を強振し「(コースが)甘かった」と右中間を深々と破る二塁打。自己最長の連続試合安打を17に更新し、札幌ドームに大歓声がこだました。

 打率・202に終わった昨季は内角を厳しく攻められることはほとんどなかった。しかし、今季は打率3割以上をマークし、栗山監督が「結果を残すほど、内角を厳しく攻められる」と言うように、相手バッテリーが、大谷に踏み込ませないように内角を突くのは当然の流れだった。

 右投げ左打ちの二刀流にとって、最大のリスクは右手への死球。だが、大谷は自らの技術と経験でそれを回避した。花巻東時代は「当たっても大丈夫な(軟らかい)ボール」で死球を避ける練習を繰り返した。この日の試合後も「背中は大きな筋肉がついているので重傷にならない。それよりインサイドを打ちにいって手首に当たる方が危ない」と話した。死球後、アイシングもせずにグラウンドに立ち続けたのは、高校時代の特訓の賜(たまもの)でもあった。

 582打席ぶりの死球。栗山監督は「ちょっと心配した」と本音をこぼしたが、「翔平はイチロー(マーリンズ)みたいに(スイング始動時に)“手”が(後ろに)残る。だからうまく(内角球を)よけられる可能性が高い。それが打者をやらせる一つの要素」と、天才打者を引き合いに説明した。

 大谷は言う。「“内甘(うちあま)”は得意だと思っている。勝手に安打になる」。厳しく内角を突いても、少しでも甘くなれば捉える自信がある。二刀流4年目。最速163キロだけでなく、その打棒も覚醒している。 (柳原 直之)

 ▼広島・畝投手コーチ(死球について)今日は打者だからな。それにジョンソンも微妙なコントロールがなかった。

 ▽大谷の前回の死球 13年7月9日の楽天戦(東京ドーム)。「7番・右翼」でスタメン出場し、田中(現ヤンキース)と2度目の対決。3回の第1打席に厳しく内角を攻められて3球目、懐に食い込んでくる144キロのカットボールを左膝に受けた。これがプロ初の死球。大谷はこの年、田中に11打数無安打6三振と完璧に抑えられた。

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