イチロー ローズの最多安打にあと10 恩師敵将の前で42歳熟練の技

[ 2016年6月9日 05:30 ]

<ツインズ・マーリンズ>延長10回、右前打を放ち日米通算4246安打としたイチロー(AP)

インターリーグ マーリンズ4―6ツインズ

(6月7日 ミネアポリス)
 マーリンズのイチロー外野手(42)が7日(日本時間8日)、ツインズ戦に「1番・左翼」で先発して2安打。メジャー歴代最多4256安打のピート・ローズまで日米通算で残り10本に迫った。メジャー年間最多262安打を記録した04年のマリナーズ打撃コーチで、現在はツ軍を率いる恩師のポール・モリター監督(59)の前で健在ぶりを示した。

 今季9度目のマルチ安打でいよいよローズの背中が見えてきた。この日積み重ねた2本は、イチローの技術が凝縮された安打だった。
 延長戦に入ったことで巡ってきた5打席目。初対戦の変則左腕アバドに1ボール2ストライクと追い込まれたが、ナックルカーブに詰まりながらも一、二塁間を破る右前打。先発ディーンの直球に詰まりながらもしぶとく右前に運んだ初回のVTRのようだった。42歳で史上初の3戦10安打を達成した5月23日のレイズ戦後に「別に速い打球を打たなくてもヒットは打てるわけだしね。技術はそれ以外にもありますから」と話していた通りの熟練の技。詰まっても野手のいないところに打てば安打になる。それを見事に体現した。
 試合前にはメジャー歴代9位の3319安打を誇るツインズのモリター監督と談笑。ツインズの地元紙「ツインシティーズ・ドットコム」は「イチローとモリターは今も強い絆で結ばれている」との特集を掲載した。2人の代理人がジョン・ボッグス氏という共通点があり、イチローがヤンキースからFAとなった14年オフにはツ軍が獲得に動いたことも紹介。また、04年の春季キャンプで当時マ軍のボブ・メルビン監督らが、早打ちのイチローに「もっとボールを見て四球を選べ」と説得しようとしたが、モリター氏はイチローが自身のスタイルを貫けるようにその足かせを解いたエピソードも伝えた。
 8人しかいないメジャー2900安打、500盗塁達成者の2人。10回の二盗でメジャー504盗塁として恩師の盗塁数に並んだのも何かの縁だ。さあ、ローズの聖域へ。イチメーターがカウントダウンに入る。(笹田 幸嗣通信員)

 ≪イチロー過去のカウントダウン≫

 ☆3085安打(日本記録=残り10本から8試合、38打席) 残り2本で08年シーズンが終了。翌09年は胃潰瘍のため開幕はDL入り。復帰初戦の4月15日エンゼルス戦で第2打席に中前打、第5打席で満塁本塁打を放って張本勲の記録に日米通算で並んだ。

 ☆257安打(メジャー年間最多=残り10本から8試合、36打席) 04年9月22日エンゼルス戦の第7打席で二塁内野安打。残り10本とした。10月1日レンジャーズ戦の初回の左前打でタイ記録。この試合3安打で1920年のG・シスラーの記録を抜き去った。

 ☆10年連続200安打(メジャー最長=残り10本から5試合、24打席) 10年9月17日レンジャース戦の第1打席で190安打目。同21日ブルージェイズ戦で4安打し、同23日の同戦の第3打席の中前打で200安打に達した。

 ≪“Xデー”29日?≫イチローは今季、先発19試合で計25安打(およそ3試合で4安打ペース)、途中出場28試合で計8安打(7試合で2安打ペース)を放っている。インターリーグのDH制の試合は今後もスタメン濃厚。ナ・リーグの試合で主力休養に伴い5試合につき1度先発すると仮定し、これまでと同じ安打ペースを守れば、「10本目」のXデーは今月28日(日本時間29日)からのタイガース2連戦あたりと推定される。

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