プロ野球 異例!東京五輪全期間中断へ 球界挙げて全面協力

[ 2016年6月7日 08:00 ]

08年北京五輪で4位に終わった日本

 東京五輪が行われる2020年にプロ野球が7月24日から8月9日までの五輪期間中に公式戦を中断する可能性が出てきた。日本野球機構(NPB)の理事会と12球団の実行委員会が6日、都内ホテルで開かれ、追加種目として野球・ソフトボールが採用された場合の20年日程について中断を視野に協議。プロが参加した00年シドニー以降、まとまった期間の公式戦中断はないが、五輪に全面協力する姿勢を示した。借用される神宮球場や実施競技球場の使用制限期間など総合的に考慮し、最終決定を下す。

 熊崎勝彦コミッショナーは会議の後、強い口調で4年後の東京五輪への協力姿勢を訴えた。

 「五輪は国民的なインパクトを持った大会。プロ野球界としても最大限協力する」

 野球界としてどんな協力ができるか。中断を前提に期間についても、さまざまな案が提示された。NPBの井原敦事務局長は「全面的に協力することは(12球団の)共通認識としてある」とした上で「野球・ソフトボール競技が行われている期間内の間にどうするかという部分からの考え方になるが、全期間(中断)という選択肢も考えとしてはある」と説明した。

 プロが参加した00年シドニー、04年アテネ、08年北京でまとまった期間に公式戦を中断した例はない。64年の東京五輪は10月開催で公式戦中断はなかった。今回の期間中は夏休みで稼ぎ時でもある。約2週間で70試合前後を行えないが、ある球団幹部は「東京の開催で同じスポーツ界として、世界最高の大会をリスペクトする必要がある」と話した。過去に前例のない中断策。東京五輪の追加種目は8月のIOC総会で正式決定する。その前に中断の方針を打ち出すことで、プロ野球界の五輪への全面協力の姿勢を示す意図もある。

 五輪組織委からはヤクルトの本拠地、神宮球場の7月1日から9月20日までの借用を求められている。さらに、DeNAの本拠地である横浜スタジアムや、ロッテの本拠地、QVCマリンが競技会場の候補に挙がる。セキュリティーゲートの設置の関係上、一定期間の使用制限が課されることが想定される。もちろん、期間中全休となれば、野球が正式種目となった92年バルセロナ大会以降獲得したことのない悲願の金メダル獲得へ、ベストメンバーを編成しやすくなる利点もある。

 会議では、公式戦開幕を1週間前倒しし、さらにクライマックスシリーズと日本シリーズの間隔を詰めるなどの対応策も話し合われた。中断期間の最終決定は、実施競技会場や競技日程が固まった上で決定されるとみられるが、中断方針は7月上旬の実行委で12球団の意見を集約し、同11日のオーナー会議で承認を目指す。熊崎コミッショナーの「青少年の野球に対する夢を広げ、実現できるよう具体的な施策にまい進していく」との言葉を球界全体が受け止め、議論を重ねていく。 (倉橋 憲史)

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2016年6月7日のニュース