藤浪圧巻1安打完封!省エネ100球でゴロアウト22個斬り

[ 2016年6月3日 05:47 ]

<楽・神>完封勝利を挙げ、グラブを叩く藤浪

交流戦 阪神3-0楽天

(6月2日 コボスタ宮城)
 やっと勝った! 阪神・藤浪晋太郎投手(22)が2日の楽天戦(コボスタ宮城)で今季初完封を1安打に抑える快投で飾り、登板7試合ぶりの4勝目を挙げた。切れ、制球を取り戻した直球とカットボール主体に22個のゴロアウトを奪い、わずか100球で楽天打線を料理。自己最長に並ぶ6試合未勝利の長いトンネルをついに抜けた。

 藤浪は51日ぶりの勝利を今季初完封で彩った。「自分自身、つらい時期だったのですが、何とか良いピッチングが出来ました」。敵地のヒーローインタビューで苦しかった日々に思いをはせた。

 「寒かったですし、球速、球威にこだわらずに打ち取って行けたらと思って、その通りに投げられました」

 完封は通算5度目。9回完投としては自己最少100球で投げ抜いた。可能としたのは気温15度前後まで冷え込んだ杜(もり)の都で展開した「大人の投球」だった。

 直球は最速151キロに抑えて制球を重視。軸に選んだ直球とカットボールを低めに集めた。昨季の奪三振王が1併殺を含む22個のゴロアウトを奪う軟投派に変身。外野へ飛ばされたのは2回の枡田の中前打と4回の左飛だけ。右翼手・福留は一度も守備機会がなかった。

 布石は登板前日に打った。1日の試合前練習中に右翼から本塁まで約60メートルの遠投。「長い距離でやることで良いボールを投げないとシュート回転したりする。ごまかせないので。感覚をつかみたかった」。研ぎ澄ました感覚が制球力を生み出した。

 セ界、そして、日本の頂点を目指す猛虎の原動力となるべきエースの胸には大阪桐蔭高時代の恩師である西谷浩一監督の言葉が深く刻みつけられている。「お前ら、富士山が日本一の山であることは知っているやろうけど、2番目を知っているか? 琵琶湖が日本一の湖であることは知っていても2番目は知らんやろ? 何事も一番にならないと意味がないんや」―。その教えを実践し、高校野球の頂点に立った。

 だから、言う。「自分も西谷監督の言う通りと思います。高校野球でもプロでも一番にならないと意味がない」。過去3年は2、2、3位。4年目の今季も「原点」を胸に頂点をうかがう。そのためにチームが必要とするものこそ、藤浪本来のパフォーマンスだ。

 昨季も1勝目の後、6試合の停滞がありながら2勝目以降は6連勝と盛り返して自己最多14勝を挙げた。シーズン序盤の足踏みは再び躍進の予兆か。金本監督は「チームにとって藤浪で勝てたことが大きい」とうなずいた。藤浪は「勝って兜の緒を締めていきたい」と力を込めた。今季ノルマに「最低15勝」を掲げる右腕の本領は、これからだ。(惟任 貴信)

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2016年6月3日のニュース