野球・ソフト 東京五輪で復活濃厚「一括」で突破

[ 2016年6月3日 05:30 ]

IOC理事会第1日の審議を終え、記者会見するアダムス広報部長(右)とマコネル競技部長

 国際オリンピック委員会(IOC)は1日(日本時間2日)、スイスのローザンヌで行われた理事会で、2020年東京五輪の追加種目として5競技18種目を8月の総会に一括提案することを決めた。個別提案となった場合、野球は大リーグがトップ選手の派遣に消極的な点や世界的な普及の問題を指摘される可能性があったが、一括提案の決定で08年の北京五輪以来3大会ぶりに復活することが濃厚となった。

 8月の正式決定まで安心はできないが、安どの思いは東京都内の日本野球機構(NPB)事務局で会見を行った熊崎勝彦コミッショナーの表情にも表れていた。

 「一つの大きな節目を通過できたということは、野球界としては大変喜ばしいこと。野球界としても復活に向け努力してきた。大きな前進があったと感じている」

 個別投票となっていた場合、大リーグ機構が大会参加に消極的である点や、北中米やアジアなどに偏る競技普及を指摘される可能性があった。約100人のIOC委員は野球・ソフトボール熱が低い欧州出身の委員が多数を占める。IOC内では「(野球は)競技ごとの個別採決なら投票で落選する可能性もある」と指摘する声もあったほどだ。日本で国民的な人気を誇る「野球・ソフトボール」の落選のリスク回避策として、五輪組織委が提案したのが、IOCが重視する若者の人気が高いスケートボードなどと組み合わせる「パッケージ」による審議だった。

 ただ、正式決定後も、大リーグのトップ選手の参加の懸念は横たわったままだ。大リーグ側との交渉窓口となっている世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長は課題の大リーグのトップ選手の参加は「交渉を継続しているが、まだ解決策は出ていない」と話すにとどめた。WBSCは大リーグとの交渉で準決勝、決勝の限定参加案なども提示したが進展はない。組織委の森喜朗会長も「もうちょっと血眼になってくれないと」と日本球界の独自の働きかけを期待した。そのほか、現行案での出場は6チームと少ない点、大会方式や大陸別出場枠のバランスも検討課題となる。

 2日のIOCのプレスリリースには「開催都市から競技提案は、将来の開催都市の提案を縛るものではない」と明記されている。東京五輪だけの限定復活としないためにも、世界的な普及振興策に取り組む必要がある。

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2016年6月3日のニュース