阪神・原口 育成から一気、侍ジャパン入りも 小久保監督が調査

[ 2016年5月31日 09:15 ]

28日の試合前の練習中に小久保監督(左)と話す原口

 阪神の原口文仁捕手(24)が野球の日本代表「侍ジャパン」に選出される可能性が出てきた。28日に東京ドームで開催された巨人―阪神戦の試合前に侍ジャパンの小久保裕紀監督(44)から激励されるなどしていた。4月27日に支配下登録され一気に阪神の正捕手の座をつかんだシンデレラボーイが、来年3月に開催される第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表入りを目指し、31日から始まる交流戦でもさらなる活躍を狙う。

 2カ月あまりで猛虎の正妻の座を射止めた原口のシンデレラストーリーに、新たなシナリオが加わる可能性が出てきた。侍ジャパン入り―。4月27日に支配下登録され、27試合で82打数32安打の打率・390、5本塁打、18打点(30日現在)と大活躍する男が、侍ジャパンの小久保監督をも動かした。

 試合前練習時に、テレビ解説のため東京ドームを訪れていた指揮官に歩み寄られると、そのまま、言葉を交わした。「話した内容までは言えないですよ。(近況報告かと問われ)そうですね。頑張ってくれ、と言われたぐらいです」と詳細は明かさなかったが、小久保監督の直後の行動が、何よりも高い期待をうかがわせた。昨年まで侍ジャパンのバッテリーコーチを務めていた矢野作戦兼バッテリーコーチに「取材」を敢行したのだ。その内容を小久保監督自らが明かした。

 「これだけの短期間でどうやって急成長したのか。本人と少し話をして矢野さんとも、そういう話をしました。ケガがあったということですが、元々、打撃はいいという話でしたね。(侍ジャパン入りの可能性を問われ)捕手であれだけ打っているからね。残りシーズン、体の強さを示してくれたら。捕手は常に探していますよ」

 嶋(楽天)や中村(ヤクルト)ら選出経験者のチェックはもちろんだが、新戦力発掘も重要。球界全体を見ても「打てる捕手」は多くなく、高打率に長打力を兼備している猛虎の新・正捕手は魅力的な存在と言っていい。評価を伝え聞いた原口は「本当ですか。それはありがとうございます、嬉しいですね。これからも頑張って行きます」と素直に喜び、今後の励みとしてさらなる成長曲線を描いていくことを改めて誓った。

 当然、侍ジャパン入りのハードルは高い。実績が全くない選手はシーズンにおいて継続的な活躍が最低条件となる。それだけに、31日の楽天戦(コボスタ宮城)を皮切りに開幕する交流戦に集中し、さらなる結果を積み重ねたい。

 「特に力まず普通に頑張ります。しっかり打者を見ながら。(打者の反応を)うまく利用できるように、しっかり準備していきたい」

 まずは捕手として守りのコメントを発するところを見ても、地に足が付いている。パ・リーグ相手にも「原口」の名前を存分に知らしめることができれば、日の丸を背負うことも夢物語ではなくなる。 (久林 幸平)

 ▽侍ジャパンの捕手事情 15年11月のプレミア12では嶋(楽)、炭谷(西)、中村(ヤ)の3人が選出され、8試合のうち嶋が6試合、炭谷が2試合で先発。打撃では嶋の4安打、1打点が捕手最高だった。16年3月の台湾との強化試合には、中村と炭谷が1試合ずつフル出場。5日の第1戦では2回に中村が打った先制の2点二塁打が勝利打点となった。

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