清原被告 会見できない どん底精神状態に体調悪化…周囲が判断

[ 2016年5月31日 05:30 ]

清原和博被告

 覚せい剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手の清原和博被告(48)の判決公判が31日午後1時半から、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれる。初犯のため実刑は免れ、執行猶予付きの有罪判決が下される見込み。周囲によると、清原被告の希望していた記者会見は「開くことができない状態にある」という。精神的にひどく落ち込み、糖尿病などで体調は悪化。心身が回復しなければ、再生の道も見えてこない。

 清原被告は3月に保釈された際、マスコミ各社に送った文書で「いつか機会をいただき、直接皆さまに謝罪したいと切に願っています」と意思表明。勾留先だった警視庁本部を出る時も自動車からいったん降りて、謝罪の言葉とともに頭を下げる意向だった。しかし、警視庁から「安全確保が必要」との指摘を受けたため実現しなかった。

 知人によると、公の場で謝罪したいという意向は今も変わっていない。清原被告は「裁判の判決が出た後、できれば皆さんの前でしっかりと謝りたい」と周囲に話しているという。しかし、17日の初公判出廷後、精神的な落ち込みが以前にも増してひどくなり、体調も悪化。周囲と相談した上で、この日までに「今の状態で矢継ぎ早の質問にきちんと答えるのは難しい。会見はできない」と判断した。文書によるコメントを出すことも難しそうだ。

 清原被告の心身悪化を招いたと周囲がみているのが(1)判決前の不安(2)糖尿病(3)覚醒剤(4)今後についての心配――の4点だ。知人は「(清原被告は)判決を前に精神的に不安定になっている。今後の仕事や生活への不安も日に日に大きくなっているようだ」と明かす。野球一筋で生きてきた清原被告は引退後、抜群の知名度を頼りに仕事をしてきたが今回の事件で、その名前に傷がついた。今後の仕事や生活をどうするのか、まったく見えてこない状況が清原被告の不安をかき立てている。

 都内の病院に入院して治療している糖尿病もなかなか改善しない。薬物依存も初公判で「(薬物を断ち切るために)自ら命を絶つことも考えた」と語るほど重症で、心身ともにどん底状態にある。

 清原被告は息子たちと離れた後、自暴自棄になって糖尿病の薬をやめ周囲から「このままだと死ぬ」と言われても服用しなかった時期があった。それだけに、関係者は「無理をさせて、取り返しのつかないことになるのだけは避けなければいけない」と話している。

 注目の量刑は猶予刑になる見通しだ。しかし、判決がどうなろうと今後の展望が開けていないのは変わらない。覚醒剤を断ち切るには強い意志を持って心身を回復させ、自身で道を切り開いていかなければならない。

 ▼大沢孝征氏(弁護士)初犯で末端の使用者であるため、必ず執行猶予付きの判決になるでしょう。量刑は求刑通り懲役2年6月で、執行猶予3~4年になりそう。執行猶予の長さは裁判所が常用性をどう判断したかの目安で、私は4年になる可能性が高いと思う。末端の使用者は、いわゆる“被害者なき犯罪”で、自分で自分を駄目にしているだけ。一度は社会に復帰するチャンスを与えなければいけないという考え方がベースとなっている。初公判の際に、被告自身が「保護観察をつけてほしい」と述べていたが、保護観察は再犯を繰り返し、よほど監視が必要だと判断されないと付かない。本人が言ったから、裁判所の判断に影響することはないし、初犯で付くことはないだろう。

 ◇初公判VTR 17日に東京地裁で開かれ、清原被告は紺色のスーツに青っぽいネクタイ姿で入廷。職業を「無職です」と答え、起訴内容を認めた。法廷では弁護士が代読した父親の手紙に涙で聞き入り、情状証人の佐々木主浩氏の「2回目はないと信じている」という訴えに、ハンカチを取り出して涙を拭うなど、約2時間の公判中、終始泣き続けた。検察側は「常用性」を指摘し、懲役2年6月を求刑、即日結審した。

 ≪清原薬物事件の経過≫

 ▼2月2日 警視庁が東京都港区の清原被告宅を家宅捜索。覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕

 ▼同4日 清原被告を所持容疑で東京地検に送検

 ▼同15日 清原被告に覚醒剤を譲り渡したとして警視庁が小林被告を覚せい剤取締法違反(営利目的譲渡)容疑で逮捕

 ▼同23日 東京地検が覚せい剤取締法違反(所持)の罪で清原被告を起訴。警視庁は同法違反(使用)容疑で再逮捕

 ▼同25日 清原被告を使用容疑で東京地検に送検

 ▼3月7日 東京地検が小林被告を覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で起訴

 ▼同8日 東京地裁が、清原被告の初公判を5月17日に開くと決定

 ▼同15日 東京地検が清原被告を使用の罪で追起訴

 ▼同16日 弁護人が東京地裁に保釈を申請

 ▼同17日 東京地裁が保釈を許可し、保釈保証金500万円を納付。保釈され、医療施設に入院

 ▼4月1日 東京地検が清原被告を譲り受けの罪で追起訴

 ▼同27日 小林被告初公判

 ▼5月9日 小林被告が保釈

 ▼同17日 清原被告初公判

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2016年5月31日のニュース