メッセ 喜べぬ1000奪三振「これが野球のつらいところ」

[ 2016年5月30日 05:30 ]

<巨・神>5回無死、脇谷の打球に手を伸ばすメッセンジャー

セ・リーグ 阪神1―2巨人

(5月29日 東京D)
 偉業を素直に喜べないもどかしさがにじんだ。先発した阪神・メッセンジャーは、外国人枠の制定された1952年以降では史上3人目となる通算1000奪三振を達成も、援護に恵まれず、今季4敗目を喫した。

 「(祝福してくれたのは)ありがとうございます。ただ、ホロ苦いというかね…」

 8回2死一塁で迎えた亀井に3球勝負を挑み、フォークで空を切らせてこの日7個目の三振。大台に到達し、マウンドを降りてきた右腕は、両軍の選手、ファンから大きな拍手で称えられると、深々と頭を下げた。

 「最初も巨人相手で、1000個目も巨人相手というのは不思議だね。とても信じられない。まさかそんな長く(日本に)いるとは思わなかったし、そんなに取れるとも思ってなかったから」

 来日7年目。1年目の10年4月8日の巨人戦(甲子園)の9回に当時現役だった高橋監督から奪ったのが1個目だった。そのシーズン途中から先発に転向すると、ペースは上がった。13年からは2年連続で奪三振王のタイトルも獲得。150キロの豪速球を軸に、カーブ、フォークを交えた緩急自在の投球で「K」を量産していった。

 積み重ねた1000個のなかで「最も熱かった」と振り返るのが、昨年6月12日のオリックス戦(京セラドーム)。スコアレスの9回2死二、三塁のピンチでヘルマンを内角直球で空振り三振に退け、9回無失点で役目を果たした。

 「試合展開的にも最高の三振だった。藤井さんが捕手でね。今でも思い出すと、興奮するね」

 数への執着は一切なく、チームの勝利に直結する奪三振に誰よりもこだわりを持ってきた。

 3回、先制された直後に、今季すでに2被弾している坂本に許したソロが響いて、8回2失点の好投も黒星が付いた。

 「これが野球のつらいところ。長いイニングを投げて、チームに勝つチャンスを与えても、結果的に自分に負けが付いてしまったから…」

 苦い思いに染まったメモリアルデーを発奮材料に、次回こそ会心の白星を手にする。 (遠藤 礼)

 ≪1個目は高橋監督から≫メッセンジャー(神)が巨人戦の8回に亀井から空振り三振を奪い、通算1000奪三振を達成した。プロ野球145人目で、外国人枠が制定された1952年以降の助っ人投手では郭源治(中)、郭泰源(西)に次いで3人目。初奪三振は10年4月8日に巨人の高橋から。

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