【亀山つとむの視点】岩貞 自分自身の限界打ち破った完封劇

[ 2016年5月28日 09:50 ]

<巨・神>巨人打線を完封して、ハイタッチをかわす岩貞(左)と原口のバッテリー

セ・リーグ 巨人0-1阪神

(5月27日 東京D)
 岩貞は見事な投球でした。単なる1勝ではありません。何重にも意味を持つ1勝です。126球を投げ抜いた初完封で自分自身の限界を打ち破りました。不調だった救援陣も救いました。僅差の展開で巨人側にマシソンの2イニング登板を強いました。これも2戦目以降を考えれば、大きな要素です。何より一番は防御率0点台の菅野に投げ勝ったことです。

 0―0の展開で最後に得点が入ったわけではありません。相当な重圧の中で初回の1点を守り抜きました。しかも、適時打で奪った得点ではなく、敵失での得点です。いつ引っ繰り返されてもおかしくない最少得点を守ったことは大きな自信になります。前回も広島・黒田と互角以上の投げ合いでしたし、首脳陣の信頼を勝ち取りました。

 巨人とは初対戦。本塁打の出やすい球場だけに普段ほど右打者の胸元を直球で突くことがなかった一方、チェンジアップが非常に効いていました。角度の付いた打球を打たれたのは3つの外野飛球があった最後くらい。

 4回2死一、三塁で岡本を空振り三振に退けた場面では初球チェンジアップを空振りさせ、最後もチェンジアップを振らせました。適度に高めに抜けてくるので打者は直球に見えるのでしょう。チェンジアップ警戒が頭にあるので、各打者が追い込まれる前に仕掛けてきたことも球数の節約につながりました。

 原口も落ち着いていて若いバッテリーにとっては大きな経験を積む勝利になりました。唯一の反省は4回に小林誠に振り逃げを許したことです。三振を狙って低めの変化球を自分で要求したのですからワンバウンドは想定内のはず。記録上は暴投でも実質的には捕逸です。絶対に前で止めないといけない球でした。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2016年5月28日のニュース