ヤクルト7年ぶり2戦連続サヨナラ勝ち 畠山劇打、バレ死球で燃えた

[ 2016年5月27日 05:30 ]

<ヤ・神>9回1死満塁、畠山がサヨナラ打を放ち武内にバケツで氷水をかけられる

セ・リーグ ヤクルト6―5阪神

(5月26日 神宮)
 神宮が異様な雰囲気から歓喜に変わった。9回1死満塁で、ヤクルト・畠山がマテオのスライダーを中前にはじき返すサヨナラ適時打。

 ナインから大量の水を浴びたずぶ濡れのヒーローは、「とにかく前に飛ばそうと。自分も状態が良くない。格好よく決めようとは思わなかった」と笑った。

 闘争心に火が付いた。劇的な一打から10分前の出来事だった。9回無死一、二塁でバレンティンがマテオの直球を左肘に受け、両軍がベンチから飛び出した。一触即発の雰囲気となり、警告試合となった。この日の先発は藤浪。4月19日の阪神戦(甲子園)で打率・500と打撃好調だった谷内が、藤浪から受けた死球で左尺骨を骨折し登録抹消となった因縁もある。

 「藤浪の登板で谷内がやられました。プロである以上ケンカではないけど、当てられっ放しでは良くない。バレには悪いけどチームが一つになった。みんなで向かっていこうと」。荒れ球のマテオだったが、畠山は外角低めのスライダーに、勇気を持って踏み込んではじき返した。

 今年は春季キャンプで腰痛、シーズンでも背筋痛で戦線離脱した。51試合消化して本塁打はゼロ。本調子には程遠い。満身創痍(そうい)でグラウンドに立っているだけでつらいときもある。それでも、「良いときばかりを求めても心が折れる。悪いなら悪いでつなぎ役に徹する」と昨季の打点王に葛藤はない。

 09年以来7年ぶりの2戦連続サヨナラ勝ち。最下位だが、4カードぶりの勝ち越しだ。真中監督が「競った中で取れたのは大きい」と声を弾ませれば、畠山もナインの思いをお立ち台で代弁した。「セ・リーグは昨年同様、混戦になると思う。遅れないようにして秋口に皆さんと喜びを分かち合いたい」。ツバメの逆襲はここからだ。 (平尾 類)

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