イチまた4本、3戦10安打!42歳「ほっとけや!やかましいわ!」

[ 2016年5月25日 05:30 ]

<マーリンズ・レイズ>逆転勝ちし、チームメートと喜ぶイチロー(左)

インターリーグ マーリンズ7―6レイズ

(5月23日 マイアミ)
 超固め打ちで4割超えだ。マーリンズのイチロー外野手(42)は23日(日本時間24日)、レイズ戦に「1番・左翼」で3試合連続先発出場し、5打数4安打1打点で勝利に貢献した。42歳での3試合10安打は、近代野球とされる1900年以降ではメジャー史上初の快挙となった。打率は・417まで上昇。ピート・ローズの持つ大リーグ歴代1位の4256安打まで日米通算で18に迫り、メジャー通算3000安打へもあと40本とした。

 そんなに騒ぐな、と言わんばかりだ。3試合で10安打。近代野球とされる1900年以降では42歳で記録した選手は誰もいない。イチローも「そうかもね」とうなずき、笑顔でこう言った。

 「42歳とかいいし、もう。ほっとけや!やかましいわ!」

 メジャー最年長野手の打棒が止まらない。2日前に4安打。前日も2安打し、この日もまた4安打だ。42歳以上でシーズン2度の1試合4安打を記録したのは1983年のピート・ローズ以来33年ぶり。さらに3試合で10安打は、06年に3試合で11安打を記録して以来、実に10年ぶりである。「ああ、そうですか。全然覚えていない」と淡々としたものだったが、全盛期がフラッシュバックするような猛打ショーは初回から始まった。

 2点を先制された直後に左腕ムーアの92マイル(約148キロ)直球を中前へクリーンヒットし、3点を奪う逆転劇を演出した。2回はカーブを逆方向の左前へ。4回は2死三塁から93マイル(約150キロ)直球を引っ張り、右前適時打を放った。締めは8回。1死一塁から左腕ロメロの94マイル(約151キロ)の内角直球を痛烈に右前にはじき返した。

 この3試合で記録した10安打の特徴は確実に芯で捉え、速球系に振り負けずに打ち返していること。この日も4安打中3安打が150キロ前後の直球だった。球場に響く快音。「お客さんがいないからじゃないの」と笑いながら、こう続けた。「別に速い打球を打てなくてもヒットは打てるわけだしね。そりゃそれで気持ちいいけど、技術はそれ以外にもありますから」。あえて打球を詰まらせて外野の前に落とす技術も持つ。打率はこの3試合で・319から・417まで急上昇。故障で欠場している正左翼手イエリチが復帰するまでの限定先発だが、日増しに存在感が増し ている。

 ヤンキース時代の14年から控えの役回りが増えた。マーリンズ2年目の今季も「4番目の外野手」。開幕から代打中心だったが「出ていなくてもボーッとしていることはない。感覚は割と早い段階で戻ってくると思った。出ていない時の方がしんどい」と振り返った。

 「イチメーター」でおなじみのエイミー・フランツさんが連日スタンドから見守る前でメーターをフル稼働させた。慣れ親しんだ1番でスタメン出場しての勝利の味。「しんどいけど、野球をしている実感が持てている」としみじみと言った。メジャー通算3000安打まで残り40本。一気に10本減らし、今季中の達成に大きく前進した。(マイアミ・笹田 幸嗣通信員)

 ≪42歳以上で3試合10安打は近代野球以前≫米記録専門会社エライアスによると、42歳以上で3試合10安打は、近代野球(1900年以降)以前の1894年に記録がある。カブスの前身にあたるコルツでプレーした殿堂入りの一塁手キャップ・アンソンが同年8月に42歳で達成。ただ、没収試合が含まれるとの注釈もある。アンソンは大リーグ史上初めて通算3000安打を記録したとされる。

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