明大3季ぶりV“鉄腕”柳16戦中10戦登板で6勝

[ 2016年5月24日 05:30 ]

<明大・立大>明大先発の柳

東京六大学野球第7週最終日 明大3―1立大

(5月23日 神宮)
 3回戦2試合が行われ、明大が立大を3―1で下し、3季ぶり38度目の優勝を決めた。勝者が優勝する一戦で、エース兼主将の柳裕也投手(4年)が7回1失点。今季10試合目の登板で6勝目を挙げ、計1089球を投げ抜くタフネスぶりで頂点に導いた。明大は他の5校に1度ずつ負けたが、10勝5敗1分けの勝ち点5で完全優勝。全日本大学選手権(6月6日開幕、神宮ほか)に3年ぶり17度目の出場も決定した。立大は99年秋以来33季ぶりの優勝を逃した。

 ベンチから雄叫びを上げて飛び出した。柳は負傷で離脱した佐野恵のユニホームを握りしめ、マウンド上の歓喜の輪にダイブ。涙はない。晴れやかな笑顔がはじけた。

 「監督の期待に応えたかったし、このチームメートと一緒に優勝したかった。本当にうれしいです」。勝者が優勝する大一番。2日前の初戦で5勝目を挙げたプロ注目右腕は前日の敗戦を目に焼き付けた。中1日。今春16試合中、10試合目の登板だった。「(立大の)田村君は3連投。明治のキャプテン、エースとして負けるわけにはいかなかった」。毎回走者を背負ったが、最速144キロの直球にカーブを織り交ぜて要所を締めた。1―0の7回、同点に追いつかれた。しかし、後続を抑えて勝ち越しは許さない。その裏、自身の代打・宮崎が決勝打。東京六大学リーグで13年春の先輩・山崎福(現オリックス)以来の6勝目が転がり込んだ。1089球を投げた。

 エース上原(日本ハム)、高山、坂本(ともに阪神)ら主力が抜けた今季。下級生からリーグ戦を経験し、97年の川上憲伸以来のエース兼主将を任された。「自分がしっかりしなければ」。朝練から左翼と右翼のポール間走40往復をこなし、試合のない週は60往復。吐きそうになるほど追い込んだ。リーグ随一と言われる練習のほかにジムでトレーニング。「誰よりも練習してきた」という自負が鉄腕を支え、先輩の川上ができなかったエース兼主将での優勝だ。

 東大に23季ぶりに敗れる屈辱も味わった。昨年までは悔しい時に、ベンチ裏でグラブを投げつけたこともあった。立場が柳を変えた。東大戦後、ナインに「神宮で勝つのは難しい。みんな身を持って分かったと思う」と諭し、練習時間をグラウンド整備に充てた。小石を拾い、全員で自分と向き合う時間をつくってチームを立て直した。

 次の舞台は全日本大学選手権。「六大学代表のプライドと責任を持って、日本一のリーグと言われるようにプレーしたい」。柳の背中で、主将を意味する背番号10が誇らしげに輝いていた。 (松井 いつき)

 ◆柳 裕也(やなぎ・ゆうや)1994年(平6)4月22日、宮崎県生まれの22歳。小3から野球を始めて都城シニアを経て横浜に進学。2年春夏、3年春の3度甲子園出場。明大1年春からリーグ戦登板。昨夏は侍ジャパン大学日本代表としてユニバーシアード金メダル。昨秋は上原(現日本ハム)との2枚看板でリーグトップの5勝を挙げるなど大学通算48試合で18勝8敗。1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

 ▼川上憲伸氏(97年にエースで主将。昨季限りで中日を退団し、現役続行を目指す)自分が投げない時も主将としてチームのことを考えなければいけない立場ですし、柳君も大変さはあったと思います。僕は4年生の時は優勝できなかった。柳君は投手としても、そして主将としても凄いと思います。

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