代役4番の松山2発で広島奪首 サングラスで3号、外して4号

[ 2016年5月23日 06:43 ]

<神・広>8回表2死一塁、松山はこの日自身2本目となる右中間2ランホームランを放つ(投手・高橋)

セ・リーグ 広島10-5阪神

(5月22日 甲子園)
 代役の4番打者がプロ初の1試合2発でトラを粉砕した。広島は22日の阪神戦(甲子園)に10―5で大勝。2点を追う3回、松山竜平外野手(30)が3号逆転3ランを左翼ポール際へ運べば、2点リードの8回には右中間へトドメの4号2ランを放ち、4安打5打点の大暴れだ。2番手で好投した戸田が2勝目。チームは2カード連続勝ち越しで、5月7日以来の単独首位に浮上した。

 追いすがるトラを突き放した。7―5で迎えた8回2死一塁。裸眼で打席に入った松山が2ボールから高橋の内角直球を振り抜くと、打球は逆風を切り裂いて右中間席に着弾した。試合を決める4号2ラン。プロ通算31本目は1軍で左腕から放った初アーチだった。

 「アレは嬉しい。逆風だったのでどうかなと思ったけど、完ぺきに打てた。右と左(投手)ではボールの角度が違う。いろいろ試し、見方を変えて、かっちりハマッた」

 新井が休養で先発から外れ、15日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、今季5試合目の代役4番。左腕をいかに打つか…が長年の課題だっただけに、ヒーローは手応えをつかんだ喜びを隠さない。それだけじゃない。試合の流れを大きく変えた一撃は2点を追う3回だ。

 2死一、二塁の好機。度付きサングラスを着用した松山が、メッセンジャーの真ん中高め直球を叩くと、打球は浜風に乗って左翼ポール際へ吸い込まれた。10日のヤクルト戦(神宮)以来となる3号逆転3ラン。長打が欲しい場面で打つ。まさに4番の働きだった。

 「見逃せばクソボールだけど。追い込まれていたので強く叩いてつなごう…と。ファウルかな…と思ったけど、シンに当たったので、風にも乗って切れなかったと思う」

 オープン戦は打率・154の大不振。絶好調に転じた要因は原点回帰にあった。左腕対策として昨秋に打撃フォームを変え、今春は飛距離を求めてスイング速度を上げようと、バットも885~875グラムの軽量モデルに変えた。「それが裏目に出た」。いきおいフォームを戻し、バットも従来の930グラムに戻した。

 「振った感覚がモノ足りなかった。打席に立つことが重要。今のフォームでも左は打てる」

 開幕からナイターではオークリー社製の度付きメガネを愛用するが、デーゲームのこの日はサングラスを着用、裸眼でも打った。「8回に裸眼にしたのは暗かったから。両目で1・0。普段の生活には困らないので」。投手の右左で投球の見方を変え、サングラスを付け外してのプロ初1試合2発。チームを奪首に導いた、感覚派の代役4番が頼もしい。(江尾 卓也)

続きを表示

2016年5月23日のニュース