吉見「奇跡」379日ぶり白星 リスク覚悟の中6日で結果

[ 2016年5月23日 05:50 ]

<中・巨>1年ぶり白星の吉見はスタンドの声援に笑顔で応える

セ・リーグ 中日5-1巨人

(5月22日 ナゴヤD)
 苦しんだ分だけ喜びは大きかった。中日・吉見が379日ぶりの通算75勝目に感無量の面持ちだ。11年に最多勝18勝、最優秀防御率1・65の投手2冠を獲った、かつての大エースがお立ち台で胸の内を明かした。「まさかこんなに勝てないとは。本当に苦労した。今までで一番うれしい。色々あってもうダメかな…と。こうやってマウンドに立っていることが奇跡」。今季初めて中6日で先発。過去4度は右肘の状態を考慮して中10日だった。しっかり腕を振り5回8安打1失点。昨年10月の右肘手術後初、昨年5月9日ヤクルト戦(秋田)以来の勝利だ。

 「いつ完治するか、わからない。肘の神経が皮膚に引っ張られて…。顔を洗うのも痛かった」

 昨秋、5度目の手術後は週3回、理学療法士のマッサージで痛みと不安を取り除いた。キャンプは志願の2軍スタート。4月9日に1軍初登板も勝利は遠かった。

 転機は4回1/3、7失点した今月4日の阪神戦。「楽に投げると打者も打つのは楽だぞ」。森ヘッドの言葉で目覚めた。肘に負担のかからないフォームを追求することをやめ、元のセットポジションに戻した。「やっぱり勝ちたい。なめていた。勝ちに対してどん欲になろうと思った」。投球中に張りを感じることもある。痛みが再発するリスクも覚悟した。

 まだ完璧ではないかもしれない。だが、存在感と信頼度はチームトップだ。「たくさん守ってくれて、打ってくれて、いいリードをしてくれた。もっと長いイニングを投げて、チームのために頑張っていきたい」。次回も中6日、29日のヤクルト戦が有力。長いトンネルを抜けたエースが本来の輝きを取り戻していく。(細川 真里)

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2016年5月23日のニュース