新潟医療福祉大初のプロへ!ドラフト候補左腕、監督との不思議な縁

[ 2016年5月23日 09:30 ]

新潟医療福祉大・笠原

 今秋ドラフト候補の大学生投手といえば創価大の右腕・田中正義投手(4年)が真っ先に挙がるが、この男の名前も覚えておいてほしい。新潟医療福祉大のエース左腕・笠原祥太郎投手(4年)だ。新津(新潟)では県大会2回戦が最高ながら大学で成長を遂げ、スカウトの評価も急上昇した。今春の関甲新学生野球1部リーグでは7試合で6勝0敗、防御率0・72、50イニングで64奪三振と圧倒的な数字を残し、チームを創部以来最高成績の2位に導いた。

 新潟医療福祉大の硬式野球部は13年創部。同年入学の笠原ら現4年生は1期生だ。そして、初代監督として指揮を執る佐藤和也監督と笠原の間には「不思議な縁」がある。佐藤監督は12年夏まで29年間新潟明訓の監督を務めたが、同年夏の新潟大会初戦(2回戦)で、当時笠原がエースを務める新津と対戦していたのだ。新潟明訓は再三の好機をものにできず9回表を終えて3―4とリードを許していたが、その裏に笠原から2点を奪って5―4でサヨナラ勝ち。新潟明訓はこの勝利を皮切りに新潟大会を制し、2年ぶり7度目の夏の甲子園出場を決めている。佐藤監督は当時をこう振り返る。

 「自分が(12年夏を最後に)辞めると言って夏の大会に入ったから、最後に(甲子園に)連れて行くぞ、みたいなムードになって。選手も硬くなって、初戦をそういう試合にしちゃったのかなと思っていたけど、そうじゃなくて(笠原の)ボールがやっぱり良かったんだと思う。当時、スピードはそんなに速くなかったけど、コンビネーション良く投げていた」

 熱戦から約9カ月後。笠原は新潟医療福祉大に一般入試で入学し、佐藤監督の下で野球部1期生としてスタートを切った。志望理由は「高3の夏に佐藤監督が(新潟医療福祉大に)野球部をつくると聞いて、地元で野球をやりたいと思った」からだった。

 チームは昨春に2部優勝。1部最下位との入れ替え戦も制し、創部3年目でスピード昇格した。1部初参戦の昨秋は最下位に終わったものの、入れ替え戦で勝って1部残留。今春は惜しくも上武大との優勝争いに敗れたが、同大学初の全国大会出場は夢物語ではなくなってきた。佐藤監督は「笠原は4年間で成長してくれた。不思議な縁ですよね」と目を細める。

 今秋は、笠原ら1期生にとって大学最後のシーズンとなる。笠原は同大学初のプロ野球選手になれるか。そして、笠原の成長と比例して躍進を遂げたチームは、創部後初の全国出場なるか。楽しみは尽きない。(記者コラム・原田 真奈子)

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2016年5月23日のニュース