DeNA倉本、よけて回り込んで“忍者セーフ” 3月ロペスに続き

[ 2016年5月18日 06:23 ]

<巨・D>6回1死一、三塁、戸柱の一ゴロで三塁走者・倉本(右)が小林誠のタッチをかいくぐり生還

セ・リーグ DeNA7―1巨人

(5月17日 山形)
 華麗に身を翻した。DeNA・倉本は巨人・小林誠の追ってくるミットだけを見ていた。よけて、よけて本塁にタッチ。決勝点をもぎ取った。

 「タイミングはアウトだったが諦めてはいけないと思っていた。点につながってよかった」。同点の6回1死一、三塁で三塁走者の倉本は戸柱の一ゴロで本塁に突入した。今季から導入された本塁での危険な接触を避けるための「コリジョン(衝突)ルール」。捕手はファウルライン沿いに設定された走路に入ってはならないため、劣勢のタイミングにも「走路を空けている。タッチをかわせるように滑ろう」とわずかな可能性に懸けた。

 大きく小林誠の後方へスライディング。だが、本塁へタッチするはずの左手が届かない。「行きすぎて触れねぇ!」。失敗だった。だが、諦めない。すぐに立ち上がると小林誠と対峙(たいじ)。「ミットを見てこっちに来るのが分かった」。ミットの動きを見て腰を引いてタッチをよけ、三塁側に回り込み、右手で本塁ベースに触った。

 「僕が俊敏に見えます?」と笑う。その言葉通り、決して足は速くない。2年目の今季、瞬発系のトレーニングを取り入れた。試合前練習で上田外野守備走塁コーチにバットを垂直に持ってもらい、正面に立つ倉本が傾けた方向へと素早く反応する練習。バットではなく、ミットにも瞬時に反応することができた。

 山形での一戦。スタンドの売店から山形牛を焼く香ばしい香りが漂っていた中で、実に「おいしい1点」だった。3月30日のロペスに続き、巨人を相手に今季2度目の「忍者走塁」。倉本は「ロペスの方が忍者ですよ」と謙遜したが、ラミレス監督は「あのプレーが流れを変えた。今まで見たスライディングの中でベスト」と称えた。 (中村 文香)

 ▼DeNAの前回の忍者走塁 3月30日の巨人戦(横浜)で1点リードの7回1死二、三塁から、三塁走者のロペスが倉本の二ゴロで本塁へ突入。小林誠の右側に回り込んでタッチをかわすと、再びタッチに来たところをくぐり抜けて左手でホームを触り、生還した。貴重な追加点を奪い、逃げ切ったラミレス監督は「今日は理想の野球」と振り返った。

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