阪神 原口が正捕手争いリード 3戦フルマスクで27イニング零封

[ 2016年5月7日 05:30 ]

<神・ヤ>勝ち星を挙げ出迎える岩貞(左)と笑顔でハイタッチする原口

セ・リーグ 阪神2―0ヤクルト

(5月6日 甲子園)
 快記録の一番の立役者はこの男と言っていい。3試合連続零封勝利の全試合にフル出場した阪神・原口が、この日も3投手を好リード。ほんの9日前に育成から支配下選手に復帰したばかりの24歳が、堂々としたインサイドワークで強力打線を黙らせた。

 「どの試合もピンチのある中で緊張感を持ってやっています。結果、抑えられているのは、いいことだと思います」

 1軍でのキャリアはなくても「育成落ち」まで経験しながら積み上げた7年間のプロ生活は無駄ではない。的確な判断力と集中力。技術面はもちろん、メンタル面でも扇の要としての役割を果たしている。初回、岩貞が右打者の内角への制球が定まらず、先頭の比屋根に3ボールとすると、そこから3球続けて内角低めの直球を要求。6球目を中前打されたが、明確な意図があった。

 「練習からインサイドが高めに抜ける傾向があったんで、意識して(内角低めに)構えた。あのコースは左投手の原点だし、そこに投げさせて調子を取り戻してくれればと思った」

 左腕が2回以降に立ち直ったのは、原口との共同作業があったからこそ。2―0の8回1死一、二塁でバレンティンを迎えた場面では、ドリスに低めのフォークを連投させて3球三振。「ワンバウンドで空振りを取れるんで、ああいう球をしっかり止められるようにやっていきたい」と顔を引き締めた。

 打っても第2打席の左前打で5試合連続安打。遅れて来た正捕手候補の連日の活躍に、金本監督も舌を巻いた。「しっかりとインサイドに投げ込んでいる。ちゃんと投手に意識付けというか、ジェスチャーで示して。すごいね」。今後の先発起用には「今はそうするのがベストかな。いつまでも続くものじゃない。でも、いいんじゃないですか、それで」と話した。シンデレラストーリーはまだまだ続く。 (山添 晴治)

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