ダル 衝撃の自己申告159キロ復帰「ここのスピードガンは…」

[ 2016年5月3日 05:30 ]

<2Aフリスコ・2Aコーパスクリスティ>レンジャーズ傘下の2Aフリスコの一員として2回を無安打無失点に抑えたダルビッシュ

テキサス・リーグ 2Aフリスコ3―4、2Aコーパスクリスティ

(5月1日 フリスコ)
 衝撃の実戦復帰!昨年3月に右肘じん帯再建手術を受けたレンジャーズのダルビッシュ有投手(29)が1日(日本時間2日)、傘下のマイナー2Aフリスコの一員として15年3月5日以来、423日ぶりに実戦マウンドに上がった。2回計32球を投げ無安打無失点、2奪三振1四球。球場表示で最速97マイル(約156キロ)をマークした。長いブランクを感じさせない投球の裏には、ダルビッシュなりのリハビリの創意工夫があった。順調に行けば、今月下旬にメジャーへ復帰する。

 2Aフリスコの本拠ドクターペッパー・ボールパークに、登場曲が流れた。ユニホームは違うが、背番号は11。ダルビッシュが423日ぶりに実戦のマウンドに立った。

 「肘がぶっ飛ばないかと、それだけはマジで思っていました」。恐怖心も頭をよぎる中での第1球。94マイル(約151キロ)の直球が捕手のミットに吸い込まれた。先頭打者を右飛、2番打者をスライダーで空振り三振に打ち取ると、3番打者の初球と3球目に97マイル(約156キロ)を計測した。

 20球投じた直球は全て150キロ超え。変化球も交え、スローカーブでは観衆のどよめきを誘った。2回無安打で、許した走者は四球と失策による2人。投球内容で最も納得したのは「凄く良かった」という直球だった。

 球場の球速表示では97マイルが最速だったが「ここのスピードガンは2マイルぐらい遅いらしい。そこはちゃんと書いてください」とちゃめっ気たっぷりに笑った。「じゃあ、99マイル(約159キロ)?」と聞かれると「(そう)かなと」。自己申告は、メジャー自己最速98マイル(約158キロ)を上回った。

 米国では、肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)に踏み切る投手が後を絶たない。しかし、全員が順調に復帰しているわけではない。ダイヤモンドバックスのハドソンは13年に最初のリハビリ登板でじん帯を再断裂。腱を通すために穴を開けた骨が折れてしまうケースもある。

 今年3月のキャンプ中。ダルビッシュはこんな話をしていた。「人それぞれ体質も違うので一概には言えないけど、投げ始めるのが早すぎる人とか、力を入れるのが早すぎる人は再発率が高い」。自身は慎重にリハビリを進める中でも、いかに早く、万全に近い状態で戻れるかを考えた。重視したのが「創傷治癒」、いわゆる傷が治っていく過程だった。

 「凄く大事な時期がある。(術後)14日から21日とか。そこは創傷治癒カーブというのがあって、一番回復が進むところ。そこに合わせてサプリメントを摂取すると、明らかに周りと違う治癒の仕方をするから、そこがアドバンテージになる」

 イメージは、術後3カ月の段階で2カ月早い5カ月の状態にすること。球団が用意した復帰プログラムに加え、ダルビッシュなりの研究と工夫、さらにいろいろなことにトライする勇気が、復帰初戦で「自己申告99マイル」の速球を生み出した。

 今の気持ちを聞かれ「本当に安心、良かったなという感じ」と言ったダルビッシュ。登板から一夜明けた2日(日本時間同日深夜)、ツイッターを更新し「特に張りを感じないのでいい状態だと思います」と説明した。

 今後はあと3回はリハビリ登板する見通しで、徐々に投球数を増やしていく。地元紙ダラス・モーニングニュースは、メジャー復帰の「Xデー」を5月27日(同28日)のパイレーツ戦と予想。パワーアップした新たなダルビッシュが、間もなくメジャーの舞台に帰ってくる。(フリスコ・奥田 秀樹通信員)

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