“虎のシンデレラボーイ”原口 9回同点犠飛 金本監督「ええ根性しとる」

[ 2016年4月29日 05:30 ]

<神・巨>9回1死二、三塁、代打・原口は背番号「82」のユニホームで同点の中犠飛を放つ

セ・リーグ 阪神3―3巨人

(4月28日 甲子園)
 午前0時を過ぎても魔法は解けない。阪神のシンデレラボーイが1軍昇格2日目も活躍した。9回、ゴメスのソロで1点を返し、なお1死二、三塁。原口の気合が沢村をのみ込む。

 初球の直球を果敢に叩き、犠飛には十分な飛距離の中飛を打ち上げた。北條生還を見届けた背番号「82」は「ヨシッ」と手を叩いた。

 「直球が速い投手なので、一本に絞っていました。最低限の仕事はできて良かったです」

 前日27日に育成から4季ぶりに支配下選手に復帰、即1軍に呼ばれ、途中出場してプロ初安打まで放った。伝統の一戦という「舞踏会」で踏んだ軽やかなステップ。定まらない正捕手候補として金本監督に見初められた24歳は、またも力を発揮した。急すぎる展開の上、今3連戦のユニホームは普段と違う復刻版。真新しい背番号94はこの日も披露されず、山田2軍バッテリーコーチに渡された借り物の「ドレス」のまま、プロ初打点で貴重な1点を挙げた。

 実家は埼玉県寄居町。小6の時に父・秀一さんに頼んでつくってもらった、裏庭の雑木林を切り開いた練習場で、暗くなっても打ち込んだ。努力の末に入ったプロの世界で待っていたのは、腰の故障による育成落ち。再起してはい上がり、テレビの中の世界だった大観衆の甲子園で「テレビでは分からない、凄い歓声」を全身に浴びた。

 敗れれば開幕戦黒星以来の借金1、そして、95年以来となるシーズン最初の本拠巨人戦での3連敗となっていた。「出させてもらうことに感謝です」と言う男の一打で、屈辱を免れるドロー。金本監督は「ええ根性しとる。ああいう場面で初球からいけるというのは」と原口を称え、「粘りを見せたといえば、見せたかな」と目を細めた。

 ◆原口 文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身の24歳。帝京(東京)から09年ドラフト6位で阪神入り。12年に椎間板ヘルニアを患い、1軍出場のないまま13年から育成契約となった。今春は1軍キャンプに途中参加し、オープン戦3試合で1安打1打点。1メートル82、86キロ。右投げ右打ち。

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2016年4月29日のニュース