阪神・原口「一生忘れられない」 支配下即“借り物ユニ”初安打

[ 2016年4月28日 05:30 ]

山田コーチのユニホームを着て打席に立つ原口(左)と育成時の背番号124の原口

セ・リーグ 阪神1―11巨人

(4月27日 甲子園)
 自身でさえも、想像だにしなかった“シンデレラストーリー”が一夜にして生まれた。この日、支配下登録された7年目の阪神・原口。即日に1軍昇格を果たし、セ・リーグ初となるデビュー戦にも出場した。

 「出させてもらったことに感謝しないといけない。打つ方で1本出てホッとしています」

 夢見た甲子園の景色。浮き足立つことはなかった。「思ったよりも平常心で、周りも見れていたし良い雰囲気の中で打席に入れた」。5回に清水に代わって代打起用されて、痛烈な中飛を放った。そのままマスクを被り、8回の自身2打席目で快音が生まれた。1ストライクからの直球を左前へ強烈に弾き返し初安打をマーク。10点の点差も関係ないと言わんばかりにスタンドから、背番号「82」に温かい大歓声が送られた。

 ドタバタ劇ぶりは背番号からも伺える。前夜10時に携帯電話が鳴った。相手は高野球団本部長。支配下入りと1軍昇格のダブルサプライズを告げられた。「いきなりだったので、本当にもうビックリでした」。結局、新背番号「94」のユニホームも間に合わず背番号「82」の山田2軍バッテリーコーチのものを借用。「ユニホームを含めてインパクトも残せた。一生忘れない試合になったと思う」と笑った。

 成長を見守ってくれた掛布2軍監督の言葉が支えだ。「緊張すると思うけど、緊張するな。今までやっていたことをすれば大丈夫だから」―。高知・安芸キャンプでことあるごとに注目選手に挙げられハッパをかけ続けられた。思いに応える様に休日返上でバットを振った。「1日逆に休むと取り返すのに3日かかるでしょ」と笑う練習の虫。恩師のエールに結果で応えたかった。

 抜てきした金本監督からも「きょうの収穫は原口がいい当たりをしたこと。(中飛と左前打)2本ともね」と称賛され、「(スタメンも)どこかであるかも」と先発マスクも示唆された。

 「良いデビュー戦だったとふり返って言えるように、これから一生懸命努力するだけです」

 怪我から這い上がってきた24歳にとって夢のような一夜。苦労人の勇姿が大敗にも光を差した。 (久林 幸平)

 ≪プロ野球3人目≫27日育成から支配下登録された原口(神)が同日プロ初出場を果たした。阪神の育成選手の昇格は、今季4月15日の田面に続く12人目。支配下登録公示日の1軍戦出場はチーム初で、15年山田修義(オ)が7月29日の日本ハム戦で救援登板して以来のプロ野球3人目。ただし山田は過去に1軍出場経験のある復帰組。プロ初出場では09年、楽天ルーキーの丈武(08年育成1位)が6月10日の中日戦に8番・三塁で先発して以来2人目。セ・リーグでは初めてだ。

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