【斎藤隆氏パドレス留学記】無限の可能性を秘めた原石との出会い

[ 2016年4月27日 14:30 ]

ルーキーリーグでは選手の入れ替えが激しい

 パドレスの私のオフィスにあるホワイトボードには、選手のネームプレートが貼られています。一番下のルーキーリーグ(2球団)から1A(3球団)、2A、3A、メジャーと8つのカテゴリーがあり、入れ替えは毎日。目まぐるしく変わるこのボードを見ていると、改めて競争が激しい世界だなと感じます。

 ここサンディエゴから車で約1時間の距離にあるレークエルシノアには、1Aの一番上のカテゴリーにあたるチームがあります。私は月に2、3回視察する予定で、先日も若い選手を見に行ってきました。年齢は28歳が1人、あとは21~24歳ぐらいがほとんど。どの選手もまだ粗削りな感じで、投内連係など基本的なチームプレーに関しては、日本の大学生の方がはるかに上でしょう。

 ただ、その中に逸材を発見しました。ジミー・ブラゾバンという21歳のドミニカ共和国出身の投手。実は3月のキャンプ中、A・J・プレラーGMに二十数人のマイナーの若手投手の映像を見せられ、長所と欠点をリポートで出すように宿題を課されました。まだ名前と顔が一致しない時期でしたが、その中で「◎」をつけたのが、ブラゾバンでした。この年代の投手はほとんどまだ欠点がありますが、彼だけは既にフォームが出来上がっており、バランスが凄くいい。そこで今季の成績を見ると、6試合で4セーブを挙げ、自責点はいまだゼロ。あの時の自分の目は間違っていなかったと、自信になりました。

 日本の若手選手はプロ入りした段階である程度、選手としての形が見えており、いい意味でも「天井」はこれぐらいと想像できます。しかし、こちらの1Aの選手を見ていると、誰も触れていない原石という感じで、無限の可能性を感じます。それだけに一体どこまで成長するのか、追いかける楽しみがあります。私のイチ推し選手、ブラゾバンも今季、ホワイトボードでどこまで駆け上がるのか、注目していきます。(前楽天投手)

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2016年4月27日のニュース