柳田V押し出しで王に並んだ「凄くいい場面で選べた」

[ 2016年4月20日 05:30 ]

<ロ・ソ>勝利を喜び合う(左から)工藤監督、バンデンハーグ、柳田

パ・リーグ ソフトバンク2-1ロッテ

(4月19日 QVC)
 世界の王に並んだ!ソフトバンクの柳田悠岐外野手(27)は19日、ロッテ戦で同点の8回1死満塁で押し出し四球を選び、1970年に王貞治(巨人=現ソフトバンク球団会長)がつくった18試合連続四球のプロ野球記録に46年ぶりに肩を並べた。これが決勝点となり、チームは7連勝で、ロッテを勝率で上回って今季初の単独首位に浮上。この勝利で工藤公康監督(52)は通算100勝を達成した。

 見極めた。追いつかれた直後の8回1死満塁だ。カウントは3ボール1ストライク。ロッテの2番手左腕・松永の外角ギリギリの143キロに柳田は反応しなかった。球審の手が動かない。ボール。5球連続で外角低めの厳しいコースを突かれたが、一度もバットを振ることなく、押し出し四球で決勝点をもぎ取った。

 「(記録は)なんも考えていないです。チャンスで打てなかったので、どんな形でも点が入ればいいと思っていた。今日は凄くいい場面で(四球を)選べたので、凄くいいと思います」

 46年ぶりに王球団会長の持つ18試合連続四球のプロ野球記録に並んだ。それも開幕からの連続記録。それでも柳田は記録よりも、自分のやるべき仕事が勝利に結びついたことを喜んだ。

 我慢した。3回2死二塁では二ゴロ、6回1死二塁は空振りの三振と先発の石川の前に3打数無安打と抑えられた。警戒され、厳しいコースを攻められた。昨季、トリプルスリーを達成した男もお手上げだ。だから、打ちたい気持ちを抑える言葉を心の中で唱える。「ボール球を追い掛けても打てない」。決勝の押し出し四球は打ちたがりの自分自身を抑え込んで見せた。

 選球眼は努力と才能の合わせ技だ。「やることは変わらない。たまたま連続しているだけ」。昨季、88四球を選べたのは欠かさない「資料室」通いの成果だ。「今年も毎日来ている。周りから意見を求めたり、熱心」と森浩之チーフスコアラー。打席の映像を確認し、相手がどう攻めてくるのかを常に研究。狙いを絞り、追い込まれるまでは決め打ちに近い。ど真ん中さえ見逃すこともある。ただ、2ストライクと追い込まれても、150キロを超える球界トップのスイングスピードがある。今季も断トツの25四球。人より速く振る分だけ、人より長く見られる。四球の多さは必然だ。

 「四球は相手が打たせたくないという気持ちの表れ。うちはつなげていく(攻撃の)形だから、チャンスを広げたりする意味では、ありがたいよ」。監督通算100勝に到達した工藤監督もその重みを評価する。7連勝で首位攻防の第1戦を奪い、あっさりと「指定席」に戻って来た。

 警戒されることが宿命だった世界の王。偉業の一つに並んだと言われた柳田は「並んでないですよ」と謙遜した。ただ、一塁へ歩くことのチームへの貢献度は数字では測れないほどに大きい。(福浦 健太郎)

続きを表示

2016年4月20日のニュース