東大3年の宮台が毎回の13K 70年ぶり東大記録更新

[ 2016年4月10日 05:30 ]

<東大・早大>1回無死、東大・宮台(左)は八木から空振りを奪う

東京六大学野球第1週第1日 東大0―1早大

(4月9日 神宮)
 東大のエース左腕・宮台康平投手(3年)が東京六大学春季リーグ開幕戦・早大戦で毎回の13奪三振をマークし、1946年(昭21)秋に山崎諭が樹立した1試合最多12奪三振の東大記録を70年ぶりに塗り替えた。試合は8回まで2安打に抑える好投も、9回に連打を浴びてサヨナラ負け。それでも自己最速タイの145キロを計測し、一躍、来秋ドラフト候補に浮上した。

 0―0で迎えた9回2死二塁、宮台が早大の7番・三倉に投じたリーグ戦自己最多139球目は無情にも左前へポトリと落ちた。二塁走者が還り、サヨナラ負け。毎回の13奪三振の力投で東大の歴史に名を刻んだ3年生左腕は「悔しい。でも走者を背負ったら三振を取るのが一番安全。狙って取れたのは良かった」と、悔しさの中にも達成感をにじませた。

 昨年11月に右足裏を疲労骨折し、本格的な投球練習再開が今年2月とは思えないほど腕が振れていた。「直球は自信を持って投げられた。相手がボール球を振ってくれたので助かった」。3季連続優勝を狙う早大打線相手に低めにテンポ良く投げ込み、2回2死二塁から3回にかけて4者連続三振。この時点で早くも7個。4回には自己最速タイの145キロをマークした。13奪三振中、12個が空振り。うち10個は直球で奪った。ネット裏で視察したアストロズの大慈弥功環太平洋担当部長は「(東大では)歴代No・1。柔らかいし、投げ方が良い。今度、東大の練習も見に行ってみたい」とうなった。

 今年1月末に故障から復帰すると、元プロが全日本大学野球連盟加盟の選手に技術指導する「冬季トレーニング」に参加。元巨人の鹿取義隆氏に「右の脇は締めない方がいい。左腕をリリースした後の通り道をつくるといい」と指導を受けた。フォームを固めたことで腕が振り切れるようになった。リハビリのため2月のキャンプには参加しなかったが、多い時で10キロを走り込み、下半身を鍛え上げた成果が表れた。

 神奈川の進学校、湘南から国内文系最難関の東大文1に現役合格した秀才。現在は法学部に在籍する。「野球に集中できるよう、テスト前に詰め込むのではなく毎日30分でも勉強するように心がけている」と野球最優先の学生生活。一時は「国を動かす仕事をしてみたい」と話していたが現時点では「進路は決めていない」。まだ3年生。今年の結果次第ではプロ入りの道も探る方向だ。「きょうは95点」と笑顔で自己採点。70年破られなかった歴史を塗り替えた左腕が、春の神宮を熱くする。 (松井 いつき)

 ◆宮台 康平(みやだい・こうへい)1995年(平7)7月1日、神奈川県生まれの20歳。小3から野球を始め、戸塚中軟式野球部を経て湘南に進学。高校時代は3年春に背番号7を背負いながら投手としても登板し神奈川県大会8強に進出。3年夏は背番号1で神奈川大会3回戦敗退。東大進学後は1年春に代打でリーグ戦デビュー。1年秋にリーグ戦初登板し、2年春の早大1回戦で初先発。昨秋法大1回戦でリーグ戦初勝利。1メートル78、83キロ。左投げ左打ち。

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