メジャー1号のマエケンに洗礼“いたずら” 張本人はエース・カーショー

[ 2016年4月8日 05:30 ]

<パドレス・ドジャース>4回、ソロ本塁打の前田(背番18)は新人いじりでナインに無視され、両手を広げアピール

ナ・リーグ ドジャース7―0パドレス

(4月6日 サンディエゴ)
 衝撃のメジャーデビューだ!広島からドジャースに移籍した前田健太投手(27)が6日(日本時間7日)、パドレス戦に初先発し、6回を5安打無失点で初勝利を挙げた。打っても4回の第2打席で左越え本塁打。日本投手では史上4人目で、ド軍投手のデビュー戦アーチは69年ぶりの快挙となった。チームは7―0で勝利。8年契約で海を渡った右腕が、大リーグ史上2チーム目となる開幕から3試合連続完封に大きく貢献した。

 敵地のファンからどよめきが起こった。4―0の4回1死で回ってきた前田の第2打席。キャッシュナーの甘いスライダーを捉えると、角度32度、94マイル(約151キロ)で飛び出した打球は左翼ポール付近に飛び込んだ。

 「入ると思わず、歓声で分かった。まさか今日打てるとは。僕もびっくりした」

 打撃には定評があったが、広島では9年間で通算2本塁打。関係者には「今季中に必ず打つ」と宣言していたが、デビュー戦で打つとは誰も想像できなかった。メジャーで投手のデビュー戦アーチは、11年にナショナルズのミローンが記録して以来だが、ド軍では47年のダン・バンクヘッド以来、69年ぶりの快挙だ。

 しかし、背番号18がダイヤモンドを一周してベンチに戻ると、誰もが知らんぷり。メジャーで流行の「サイレント・トリートメント」という新人いじりの儀式だった。前田が両手を広げ叫ぶと、すぐに笑顔で手荒い祝福の輪が広がった。「まさか迎えられないとは…。思わず手を広げたら、みんな来てくれたので凄くうれしかった」。これが今季チーム1号だった。

 本業の投球は、初回に4点の援護を受け、3回までは1安打投球。4回1死一、三塁のピンチを内野ゴロ2つで切り抜けると、6回2死一、二塁ではソラルテを外角のチェンジアップで空振り三振に仕留め、右手でグラブを叩いた。「走者をためる場面もあったが、粘り強く投げられたと思うし、無失点で終われたことが一番良かった」。無四球で、4三振中3つはオープン戦ではできなかった「ボール球になる変化球を空振りさせた」もの。「いろいろ収穫のあった試合だった」と力強くうなずいた。

 「悔しい思いもしたし、うまくいかないこともたくさんあったけど、この場に立てて、勝ったことで全てが報われました」。試合後には本音ものぞかせた。総額1億ドル(約109億円)前後の大型契約が予想されながら、身体検査で右肘に問題が見つかり、出来高に重きを置き、基本給は8年総額2500万ドル(約27億円)に抑えられた。「身体検査の結果が全てではないと証明できればいい」と入団を決めた。

 降板後にはベンチ脇で観戦したデーブ・ロバーツ監督の実母・栄子さんと握手。新天地では日系人指揮官の気遣いにも助けられた。キャンプ中に「5球以内に打てたら夕食をおごる」と打撃投手を務めた監督から、前田は初球に柵越え。「ステーキ」がリクエストされ、実現は開幕後とされていたが、指揮官はこの日の一発を受け「神戸牛は飽きているだろうし、特大のトマホークステーキ(骨付きリブロース)をおごるぞ」と笑った。

 前田のロッカーにはウイニングボール、本塁打ボール、初奪三振ボールが並んだ。「いっぱいありますよね。最高の一日になった。忘れられない一日になる」。鮮烈なデビューが記念球量産を予感させた。(サンディエゴ・奥田 秀樹通信員)

 ▼ド軍・カーショー(サイレント・トリートメントを企て)俺が8年間で1本しか打ってないのに、2打席で追い付かれるなんて。日本ではやらないだろうから驚かせてやったよ。

 ≪福留以来8年ぶり4人目≫日本選手のメジャーデビュー戦での本塁打は、04年松井稼頭央(メッツ)、06年城島健司(マリナーズ)、08年福留孝介(カブス)に続き、8年ぶり4人目となる。日本投手の本塁打も野茂英雄(ドジャース)、吉井理人(ロッキーズ)、石井一久(ドジャース)に続き4人目。野手も含めたドジャースのデビュー戦本塁打は、90年のホセ・オファーマン以来26年ぶりとなった。

 ≪ド軍は開幕3戦連続完封勝ち≫ド軍は開幕から3試合連続完封勝ちを飾り、これは63年のカージナルス以来、53年ぶり2度目の快挙。

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