五輪で神宮使用中止を要望　２０年５月から半年、組織委

　２０２０年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、メインスタジアムの新国立競技場に隣接する神宮球場について、大会前後の使用中止を要望していることが５日、分かった。アマチュア野球関係者によると、球場を所有する宗教法人明治神宮への要請は２０年５月からの半年間で、本拠を置くプロ野球ヤクルトや大学、高校の公式戦への影響が懸念される。

　組織委関係者は「新国立の周辺は通行止めなどのセキュリティー対策が不可欠で、機材置き場の確保も必要になる。五輪で使用させてもらえた場合の補償費負担など、これから本格的な調整を始める」と述べた。

　要望通りなら、ヤクルトはレギュラーシーズンの大部分に加え、クライマックスシリーズも開催できない。衣笠剛球団社長は正式な申し出はないとした上で「あれだけの広告を出していただいているし、年間シートを買っていただいているお客さんも何千人もいる。そう簡単に、よその球場でというのはありえない」との認識を示した。

　東京六大学、東都大学の春秋のリーグ戦、高校の東京都大会なども対応を迫られる。アマチュア野球関係者からは「他の球場を確保し、（金銭面の）補償があって初めて交渉と言えるのではないか」と組織委の姿勢に不快感を示す声も出た。

　東京都や明治神宮、日本スポーツ振興センター（ＪＳＣ）は昨年４月、五輪開催を契機とした明治神宮外苑地区の再開発に向けて協力の覚書を締結。秩父宮ラグビー場を解体して大会中は駐車場などに利用し、２２年度末までに新球場を建設する構想を練っている。