野球賭博問題“特別措置”は全容解明へ最後の一手「協約内でぎりぎり」

[ 2016年4月5日 10:50 ]

1年間の失格処分となった高木京元投手

 プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は4日、野球賭博問題の全容解明へ向けた調査を進めるため「自主申告」を促す特別措置を実施することを決めた。都内で開かれた実行委員会で12球団に通知し、了解を得た。6日から25日までの期間限定で実施される。期間内に野球賭博への関与を申告した場合、無期失格処分が下されても、1年後に真摯(しんし)な反省が見られれば、1年間の失格に変更され、その時点で処分が解除される。

 この特例措置は、スポニチ本紙評論家の張本勲氏ら各界の有識者の意見も聞き、コミッショナーが決断した。

 調査委の大鶴委員長は「(野球)協約内でぎりぎり」と表現した「最後の一手」ともいえるものだ。捜査権のない調査に限界がある中、球界浄化へ向けて「何とかしたい」という意欲、実行力は評価されるべきだ。

 一方で、その実効性も問われる。仮に賭博に手を染めていた者がいた場合、昨年から再三の球団の調査に「うそ」をついていたことになる。本来なら重くすべき処分が、1年で解除される道が残ることに違和感は残る。ただ、シラを切り通してきた者が今さら申告すれば、処分以上に厳しい社会的制裁を受けるだろう。選手の良心を前提としたともいえる措置に、ある球団幹部は「どこか(週刊誌など)に出るよりはいい」と苦しい胸の内をのぞかせた。

 今回の時限措置が解けた以降に発覚した事実に対しては、厳格に対応すべきことも同時に示すべきだ。熊崎コミッショナーは「野球賭博を根絶したい」と強い決意を示す。「ある」ものを見つけるより「ない」ことを証明する方がはるかに難しい作業である。(NPB担当・倉橋 憲史)

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